■譲渡禁止特約
譲渡禁止特約とは?
当事者間(下図ではAB間)で債権譲渡禁止特約をつけることで、債権譲渡されないようにすることもできます。
しかし、譲渡禁止特約に反して債権譲渡をした場合も原則、債権譲渡は有効となります。ただし、譲渡禁止の特約について、譲受人Cが「悪意」や「重過失」であれば、債務者Bは、譲受人Cからの履行請求を拒むことができ(a)、かつ、譲渡人Aに対して弁済や相殺等して、債務を消滅させることができます。これによって、債務者Bは、譲受人Cに対抗できます(b)。
下図は、(1)AがBに1000万円を貸し、譲渡禁止特約を付けて、Aが「譲渡禁止特約付きの貸金債権」を取得した。その後、(2)「この貸金債権」をCに譲渡した例です。
(a)譲受人Cが「譲渡が禁止されている債権」であることについて「悪意」もしくは「重過失」がある場合、①Cからの履行請求に対して②債務者Bは請求を拒絶することができる。・・・・相殺禁止特約の要件と同じなので一緒に覚えましょう!
ただし、③「債務者BがCからの請求を拒絶し、かつ債権者Aに履行しない場合(1000万円をAに返済しない場合) 」、譲受人Cは債務者Bに対して「譲渡人Aに弁済してください!」と相当期間を定めて履行の催告をし、④その期間内に履行がない場合は、債務者Bは、もはや悪意・重過失の譲受人Cからの履行請求を拒むことができなくなり、BはCに弁済しなければなりません。
【考え方】
譲受人Cが悪意・重過失であったとしても、債務者Bが、譲受人Cに対しては履行を拒絶しつつ、譲渡人Aに対しても履行をしないでいる(AにもCにも払わない)ことまでは正当化されません。そのため上記ただし書きの「③催告」と「④弁済」のルールがあります。
(b)譲受人Cが譲渡が禁止されている債権であることについて「悪意」もしくは「重過失」がある場合、債務者Bが「①Aの債権(貸金債権)」と「相殺できる債権(下記事例では②賃料債権)」を有する場合、⑤相殺することができます(BはCに対抗できる)。
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