独学合格プログラム

令和6年(2024年)問9|承諾

承諾に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.第三者が債務者との間で、債務者の債務につき免責的債務引受契約をする場合、債権者の承諾は不要である。

2.第三者が債務者との間で、債務者の債務につき併存的債務引受契約をした場合、債権者が第三者に承諾をした時点で、その効力が生ずる。

3.第三者が債権者との間で、債務者の債務につき併存的債務引受契約をした場合、債務者が第三者に承諾をした時点で、その効力が生ずる。

4.賃借人が賃貸借契約の目的物を第三者に転貸する場合、賃貸人の承諾は不要である。


【答え:2】


1.第三者が債務者との間で、債務者の債務につき免責的債務引受契約をする場合、債権者の承諾は不要である。

1・・・ 誤り

免責的債務引受とは、ある人(引受人)が債務者の代わりに債務を負担し、元の債務者がその債務から解放される契約です。

免責的債務引受の契約では 債権者の承諾が必要 です。なぜなら、債務者が変わることで債権者にとってリスクが発生する可能性があるからです。

免責的債務引受は以下の2つの方法で行うことができます。

  1. 債権者と引受人の契約
    債権者と引受人が直接契約します。
    この場合、契約の内容を元の債務者に通知した時点で効力が発生します。
  2. 債務者と引受人の契約+債権者の承諾
    債務者と引受人が契約を結びます。
    その後、債権者が引受人に対して承諾をした時点で効力が発生します。

本肢は「債権者の承諾は不要である」と書かれていますが、実際には承諾が必要です。したがって、この問題は「誤り」と判断できます。


2.第三者が債務者との間で、債務者の債務につき併存的債務引受契約をした場合、債権者が第三者に承諾をした時点で、その効力が生ずる。

2・・・ 正しい

併存的債務引受とは、新しい人(引受人)が元の債務者と一緒に借金などの責任を負う契約のことです。この場合、元の債務者と引受人は、連帯債務(どちらも全額の責任を負う関係)に似た立場になります。

併存的債務引受の契約の仕方には次の2パターンがあります:

  1. 債権者と引受人が直接契約を結ぶ場合
  2. 債務者と引受人が契約を結ぶ場合

今回は2つ目のケース(債務者と引受人が契約を結ぶ場合)について説明します。

この場合、契約だけでは効力が発生しません。債権者(お金を貸している人)が「OKです」と承諾した時点で、初めて効力が生じます

ポイントは、「債務者と引受人が契約をしても、債権者が承諾しない限り、効力は発生しない。」「承諾があった瞬間から、引受人は債務者と同じ責任を負うことになる。」という2つです。

要するに、「引受人は、債権者の承諾をもらったら、元の債務者と一緒に責任を負う人になる」という仕組みです。


3.第三者が債権者との間で、債務者の債務につき併存的債務引受契約をした場合、債務者が第三者に承諾をした時点で、その効力が生ずる。

3・・・ 誤り

この問題では、「債務者の承諾」が必要かどうかを問われています。

併存的債務引受とは、新たに第三者(引受人)が加わり、元の債務者と一緒に債務を負う契約のことです。この場合、契約は第三者と債権者の間で成立するので、元の債務者の承諾は必要ありません

これは、保証契約でも同じです。保証契約も債権者と保証人の間で成立し、元の債務者の承諾は不要です。

したがって、この問題の「債務者が第三者に承諾をした時点で効力が生じる」という記述は誤りです。


4.賃借人が賃貸借契約の目的物を第三者に転貸する場合、賃貸人の承諾は不要である。

4・・・ 誤り

賃借人(借りている人)が、借りている物を他の人にまた貸し(転貸)したり、借りる権利(賃借権)を他の人に譲ったりする場合には、必ず貸主(賃貸人)の承諾(許可)が必要です。

これは法律(民法612条1項)で決められています。もし貸主の許可を得ずに勝手に転貸や譲渡を行うと、契約違反になってしまいます。

そのため、転貸や譲渡を考えるときは、事前に貸主に相談して承諾をもらう必要があります。


令和6年・2024年の宅建過去問

問1
法律関係
問2
委任契約
問3
共有
問4
民法総合
問5
債務不履行
問6
地上権
問7
民法総合
問8
民法の条文
問9
承諾
問10
契約不適合責任
問11
借地権
問12
借家権(建物賃貸借契約)
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法(開発許可)
問17
建築基準法(建築確認)
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
所得税(住宅ローン控除)
問24
不動産取得税
問25
不動産鑑定評価基準
問26
重要事項説明
問27
営業保証金
問28
報酬計算
問29
宅建士
問30
クーリングオフ
問31
監督処分
問32
媒介契約
問33
広告
問34
手付金等の保全措置
問35
契約書(37条書面)
問36
保証協会
問37
35条書面
問38
免許
問39
案内所
問40
契約書(37条書面)
問41
35条書面
問42
死に関する告知
問43
宅建士
問44
契約書(37条書面)
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
問49
土地
問50
建物