容積率
目次
容積率とは?
- 容積率とは「建物の延べ面積の敷地面積に対する割合」を言います。
- 延べ面積とは、建物の各階の床面積の合計を言い、木造2階建てで、1階部分の床面積が100㎡、2階部分の床面積が60㎡の場合、この建物の延べ面積は160㎡となります。(下図参照)
- 容積率の計算式で表すと「建物の延べ面積÷敷地面積」となります。
- 例えば、敷地面積が80㎡で、上記木造2階建ての建物を建てる場合、容積率は160÷80=20/10となり、パーセント表示で表すと×100をすればいいので、200%となります。(下図参照)
指定容積率(都市計画容積率)
容積率には「都市計画で指定される容積率」と「前面道路の幅員を基に計算される容積率」の2つの容積率があるのですが、まずはじめに指定容積率から解説していきます。
都市計画区域内や準都市計画区域計画区域内では下表のとおり、容積率の最高限度が決められています。
※下記指定容積率の細かい数字は覚える必要はありません。試験問題に記載されている場合が多いです。
用途地域 | 指定容積率(下記いずれかが指定される) | 指定方法 |
---|---|---|
第1・2種低層住居専用地域 | 5/10・6/10・8/10・10/10・15/10・20/10 | 都市計画で定める |
第1・2種中高層住居専用地域 住居地域 準住居地域 近隣商業地域 準工業地域 |
10/10・15/10・20/10・30/10・40/10・50/10 | |
商業地域 | 20/10・30/10・40/10・50/10・60/10・70/10・80/10・90/10・100/10・110/10・120/10・130/10 | |
工業地域 工業専用地域 |
10/10・15/10・20/10・30/10・40/10 | |
用途地域の指定のない区域 | 5/10・6/10・10/10・20/10・30/10・40/10 | 特定行政庁が都市計画審議会の議を経て定める |
前面道路の幅員を基に計算される容積率(前面道路容積率)
前面道路の幅員が12m未満の場合に限って、指定容積率だけでなく、前面道路の幅員を基に計算される容積率の制限も同時に受けます。したがって、前面道路の幅員が12m未満の場合は、「指定容積率」と「前面道路容積率」の厳しい方の制限が適用されます。具体的には数字が小さいを適用することになります。
前面道路容積率の計算方法は下記のとおりです。
前面道路容積率=幅員(m)×4/10もしくは6/10
住居系の用途地域の場合は4/10を使い、住居系以外の用途地域の場合は6/10を使って計算する。
※住居系の用途地域とは「低層住居専用地域・中高層住居専用地域・住居地域・準住居地域」を指す。
※住居系以外の用途地域とは「近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域・工業専用地域」を指す。
例えば、前面道路が6mで準工業地域に属する敷地がある場合、前面道路容積率は6×6/10=36/10(=360%)となります。
指定容積率と前面道路容積率の具体例
下図のような敷地の最大容積率はいくらか考えてみましょう!また、最大で延べ面積何㎡の建物を建てることができるかも考えてみます。
まず、敷地の前面道路の幅員が12m未満なので、道路の幅員による容積率を計算する必要があることが分かります。では、前面道路の幅員とは8mか?6mか?前面道路は広い方を基準に計算することができます。つまり「8m」を前面道路として計算します。つぎに、この敷地は、第1種住居地域に属しているので、「住居系の用途地域」です。したがって、前面道路の幅員に乗じる(掛け算をする)数字は「4/10」です。つまり、
前面道路容積率=8×4/10=24/10(240%)
となります。
都市計画で定められた容積率(指定容積率)は20/10(200%)
なので、制限の厳しい方(数字の小さい方)を適用し、この敷地の最大容積率は20/10となります。
一つの目の質問の「敷地の最大容積率はいくらか?」に対する答えは、20/10が答えです。
続いて、二つ目の質問である、「最大で延べ面積何㎡の建物を建てることができるか?」については、
敷地面積が100㎡なので、100㎡×20/10=200㎡
つまり、この敷地には、最大で延べ面積200㎡の建物を建築することができます。
敷地が「異なる容積率の地域」にわたる場合
敷地が異なる用途地域(容積率の地域)にわたる場合、それぞれの地域ごとに延床面積の限度を求め、それを合計したものが敷地全体での限度となります。この延床面積の限度の合計数値を敷地全体の面積で割れば、敷地全体に対する容積率となります。
例えば、下図のように、甲地と乙地を敷地とした場合の容積率の上限はいくらかを考えます。
甲地の延べ面積の限度=200×20/10=400㎡
乙地の延べ面積の限度=600×40/10=2400㎡
甲地と乙地と延べ面積の限度の合計が、敷地全体で建築できる建物の延べ面積の最高限度となります。
つまり、甲地+乙地を敷地として建築できる建物の延べ面積=2800㎡
これを敷地全体の面積800㎡で割れば、甲地と乙地を敷地とした容積率の上限を計算できます。
甲地と乙地を敷地とした容積率の上限=2800/800=35/10(350%)
容積率が緩和される場合
容積率が緩和される場合の代表的な4つは以下の通りです。
- 共同住宅の共用廊下・階段・エレベーター昇降路部分→全て延べ面積に不算入
- 住宅の地階部分(地下室)→住宅部分の延べ面積の1/3を限度として不算入
- 車庫又は自転車置場→延べ面積の1/5を限度として延べ面積に不算入
- 特定道路による容積率の緩和
1.共同住宅の共用廊下・階段・エレベーター昇降路部分の延べ面積不算入
マンションやアパートなどの「共用廊下の床面積」や「階段の床面積」また、「エレベーターの昇降路部分の床面積」については、容積率を計算する上で、延べ面積に含みません。
※エレベーターの昇降路(シャフト)部分の床面積とは、エレベーターを箱と考えたときの床の面積を言います。この床面積が10㎡あり、
7階建ててのマンションであれば、各階に10㎡部分のエレベーターの昇降路(シャフト)部分があるので、合計70㎡は延べ面積に含まずに容積率を計算することになります。
2.住宅の地階部分(地下室)の延べ面積1/3不算入
「住宅の用途」として使用する地階部分(天井が地盤面から1m以下の地下室)は、その建物全体の「住宅の用途」として使用する床面積の合計の3分の1を限度として、容積率を計算をする際の延べ面積(延床面積)から除外して計算することができます。(店舗併用住宅・老人ホーム・福祉ホーム等でも適用できる)
例えば、下図のような住宅があったとします。建物全体の住宅部分の床面積は「120㎡」です。これの1/3を限度に延べ面積から除外することができます(不算入にできる)。つまり、住宅の用途として使用する地階部分60㎡のうち40㎡部分は延べ面積不算入です。
したがって、下図の住宅の延べ面積は、120-40=80㎡として容積率を計算できます。
3.車庫又は自転車置場の延べ面積1/5不算入
建物内の車庫や自転車置き場については、建物全体の床面積(延べ面積)の1/5を限度に延べ面積から除外することができます(不算入にできる)。
例えば下図のように、建物内に車庫がある場合を考えます。建物全体の床面積(延べ面積)は200㎡です。このうち1/5とは40㎡なので、車庫の床面積のうち最大40㎡までは延べ面積から除外できます。したがって、建物の延べ面積は160㎡として容積率を計算することができます。
4.特定道路による容積率の緩和
敷地の前面道路の幅員が6m以上12m未満であり、かつこの前面道路が70m以内で「特定道路」に接続している場合、当該敷地の容積率は緩和されます。具体的にどれくらい緩和されるかまでは覚えなくて構いません。特定道路に近いほど容積率は緩和され大きな建物を建てることができます。
※特定道路とは幅員15m以上の道路をいいます。
→2.