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令和5年(2023年)問16/宅建過去問

都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、この問において条例による特別の定めはないものとし、「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1.開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。

2.開発許可を受けた者は、当該許可を受ける際に申請書に記載した事項を変更しようとする場合においては、都道府県知事に届け出なければならないが、当該変更が国土交通省令で定める軽微な変更に当たるときは、届け出なくてよい。

3.開発許可を受けた者は、当該開発行為に関する工事が完了し、都道府県知事から検査済証を交付されたときは、遅滞なく、当該工事が完了した旨を公告しなければならない。

4.市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内において、自己の居住用の住宅を新築しようとする全ての者は、当該建築が開発行為を伴わない場合であれば、都道府県知事の許可を受けなくてよい。


【答え:1】


1.開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。

1・・・正しい

開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者協議し、その同意を得なければなりません。また、開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者協議しなければなりません。

開発行為に関係がある公共施設の管理者」とは、現在の公共施設管理者です。例えば、開発区域内に公園があり、その公園を「管理者A」が管理していたら、管理者Aが「開発行為に関係がある公共施設の管理者」です。

工事により設置される公共施設を管理することとなる者」とは、公共施設の管理予定者です。例えば、開発工事を行い、結果的に、新たに公園を設置し、管理する「管理者B」です。

通常、「管理者A」と「管理者B」は同じ人になりますが、考えるときは分けて考えましょう!

現在の公共施設管理者 協議+同意
公共施設の管理予定者 協議のみ

2.開発許可を受けた者は、当該許可を受ける際に申請書に記載した事項を変更しようとする場合においては、都道府県知事に届け出なければならないが、当該変更が国土交通省令で定める軽微な変更に当たるときは、届け出なくてよい。

2・・・誤り

開発許可を受けた者は、開発許可を受ける際に申請書に記載した事項を変更しようとする場合においては、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、軽微な変更に当たるときは、許可は不要で、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければなりません。よって、本肢は「軽微な変更に当たるときは、届け出なくてよい」という記述が誤りです。


3.開発許可を受けた者は、当該開発行為に関する工事が完了し、都道府県知事から検査済証を交付されたときは、遅滞なく、当該工事が完了した旨を公告しなければならない。

3・・・誤り

開発許可を受けた者は、当該開発区域の全部について当該開発行為に関する工事を完了したときは、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。そして、都道府県知事は、上記届出があったときは、遅滞なく、当該工事が開発許可の内容に適合しているかどうかについて検査し、その検査の結果当該工事が当該開発許可の内容に適合していると認めたときは、検査済証を当該開発許可を受けた者に交付しなければなりません。そして、都道府県知事は、上記検査済証を交付したときは、遅滞なく、当該工事が完了した旨を公告しなければなりません。本問は「開発許可を受けた者が公告しなければならない」となっているので誤りです。正しくは「都道府県知事が公告しなければならない」です。


4.市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内において、自己の居住用の住宅を新築しようとする全ての者は、当該建築が開発行為を伴わない場合であれば、都道府県知事の許可を受けなくてよい。

4・・・誤り

何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更してはいけません。

ただし、下記建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設については、知事の許可は不要です。

  1. 都市計画事業の施行として行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
  2. 非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
  3. 仮設建築物の新築
  4. 「農林水産物の生産・集荷」または「生産資材の貯蔵・保管」の用に供する建築物の新築
  5. 農林漁業者の居住用建物(マイホーム)建築
  6. 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為

よって、本肢は「自己の居住用の住宅を新築しようとする全ての者は、当該建築が開発行為を伴わない場合であれば、都道府県知事の許可を受けなくてよい」という記述が誤りです。

市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域とは?
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「市街化調整区域(開発許可を受けた開発区域を除く。)とは言い換えると
「市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域」です。

試験ではどちらの言葉で出題されるか分からないので、どちらも同じものと覚えておきましょう!

次に、上記言葉を細かく分解して理解していきます!

「市街化調整区域」はできるだけ、建物を建てて欲しくない区域です。

ただ、市街化調整区域であっても、開発許可を受けている区域であれば、建物を建てることができる区域です。

つまり、
「市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域」
「市街化調整区域(開発許可を受けた開発区域を除く)」とは、
開発許可を受けていない、建物を建てて欲しくない区域(一般的な市街化調整区域)とも言えます。

したがって、 「市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域」
「市街化調整区域(開発許可を受けた開発区域を除く)」で建物を建築する場合は、
原則として、知事等の許可が必要になってきます。

ちなみにこの「許可」は「開発許可」ではありません。

市街化調整区域内で建物を建てるための許可です。

そもそも「開発許可」は「土地」の造成工事の許可であることイメージすれば、
この話は「建物建築」の話なので「開発許可」ではないことはイメージできるでしょう!

例外として、下記3つは許可不要です!
① 都市計画事業の施行として行う建築物の新築、改築もしくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
② 非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の新築、改築もしくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
③ 仮設建築物の新築


令和5年・2023年の宅建過去問

問1
遺産分割(判決文)
問2
相隣関係
問3
請負契約
問4
相殺
問5
不在者
問6
取得時効
問7
配偶者居住権
問8
未成年者
問9
賃貸借
問10
抵当権
問11
借地権
問12
借家権
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法(開発許可)
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
印紙税
問24
不動産取得税
問25
不動産鑑定評価基準
問26
契約書(37条書面)
問27
建物状況調査
問28
業務上の規制
問29
業務上の規制
問30
営業保証金
問31
広告
問32
免許
問33
重要事項説明書(35条書面)
問34
報酬
問35
業務上の規制
問36
クーリングオフ
問37
業務上の規制
問38
宅建士
問39
手付金等の保全措置
問40
媒介契約(専任媒介)
問41
監督処分
問42
重要事項説明書(35条書面)
問43
契約書(37条書面)
問44
保証協会
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
問49
土地
問50
建物