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令和5年(2023年)問44/宅建過去問

宅地建物取引業保証協会(以下この問において「」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.保証協会の社員は、自らが取り扱った宅地建物取引業に係る取引の相手方から当該取引に関する苦情について解決の申出が保証協会にあり、保証協会から関係する資料の提出を求められたときは、正当な理由がある場合でなければ、これを拒んではならない。

2.保証協会は、社員がその一部の事務所を廃止したことに伴って弁済業務保証金分担金を当該社員に返還しようとするときは、弁済業務保証金の還付請求権者に対し、一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨の公告を行わなければならない。

3.保証協会は、宅地建物取引業者の相手方から、社員である宅地建物取引業者の取り扱った宅地建物取引業に係る取引に関する損害の還付請求を受けたときは、直ちに弁済業務保証金から返還しなければならない。

4.保証協会は、手付金等保管事業について国土交通大臣の承認を受けた場合、社員が自ら売主となって行う宅地又は建物の売買で、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前における買主からの手付金等の受領について、当該事業の対象とすることができる。


【答え:1】


1.保証協会の社員は、自らが取り扱った宅地建物取引業に係る取引の相手方から当該取引に関する苦情について解決の申出が保証協会にあり、保証協会から関係する資料の提出を求められたときは、正当な理由がある場合でなければ、これを拒んではならない。

1・・・正しい

保証協会は、社員の取り扱った宅建業に係る取引に関する苦情の解決について必要があると認めるときは、当該社員に対し、文書若しくは口頭による説明を求め、又は資料の提出を求めることができます。そして、社員は、保証協会から上記求めがあったときは、正当な理由がある場合でなければ、これを拒んではなりません。よって、誤りです。


2.保証協会は、社員がその一部の事務所を廃止したことに伴って弁済業務保証金分担金を当該社員に返還しようとするときは、弁済業務保証金の還付請求権者に対し、一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨の公告を行わなければならない。

2・・・誤り
保証協会の社員(宅建業者)がその一部の事務所を廃止した場合、保証協会は、納付した弁済業務保証金分担金の額(1事務所あたり30万円)の弁済業務保証金を取り戻すことができます。そして、保証協会は、弁済業務保証金を取り戻したときは、当該社員であった者又は社員に対し、その取り戻した額に相当する額の弁済業務保証金分担金を返還しなければなりません。この場合、還付請求者に対する公告は不要です。よって、誤りです。

事務所を増設した場合の違い

zousetu –hikaku
営業保証金制度利用の宅建業者が事務所を増設した場合
zousetu –hikaku1
保証協会制度利用の宅建業者が事務所を増設した場合

3.保証協会は、宅地建物取引業者の相手方から、社員である宅地建物取引業者の取り扱った宅地建物取引業に係る取引に関する損害の還付請求を受けたときは、直ちに弁済業務保証金から返還しなければならない。

3・・・誤り

還付請求者がその権利を実行(還付請求を)しようとするときは、弁済を受けることができる額について当該保証協会の認証を受けなければなりません。つまり、保証協会は、還付請求を受けたら直ちに返還するわけではありません。よって、誤りです。

保証協会制度利用の場合の還付請求の流れ

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① 被害者(還付請求者)は、保証協会に認証の申出をし、認証を受ける(営業保証金制度にはないルール)

② 還付請求者は、供託所に直接、還付請求をし、③供託所から還付(弁済)を受ける。
※還付を受けることができる額は、宅建業者が社員でない場合に供託すべき営業保証金の金額
例)宅建業者の事務所が本店のみであれば、1000万円を上限として還付を受けられる

④供託所は、還付した時はその旨を「国土交通大臣」に通知

⑤通知を受けた国土交通大臣は、上記の旨を「保証協会」に通知

⑥「保証協会」は、通知を受けてから2週間以内に還付された弁済業務保証金の額に相当する額の弁済業務保証金を供託する。

⑦保証協会は、宅建業者に対して「還付額に相当する額」の還付充当金(立て替えた分)を保証協会に納付する旨を通知

⑧宅建業者は、通知を受けてから2週間以内に、還付充当金を納付
※ これ以降は図にはありませんが、その後についても解説します。

⑨もし、上記期間内に納付しなければ、社員の地位を失う(保証協会は直ちに免許権者に報告)

社員の地位を失った時は1週間以内に営業保証金を供託しなければならない。

⑪供託しないと指示処分や業務停止処分、免許取消処分に処される場合がある


4.保証協会は、手付金等保管事業について国土交通大臣の承認を受けた場合、社員が自ら売主となって行う宅地又は建物の売買で、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前における買主からの手付金等の受領について、当該事業の対象とすることができる。

4・・・誤り

手付金等の保全措置の方法には、①金融機関との連帯保証契約、②保険会社との保険保証契約、③指定保管機関との寄託契約預かってもらう契約)の3種類があります。そして、未完成物件の場合の手付金等の保全措置は、①連帯保証契約もしくは②保険保証契約の2つだけです。③指定保管機関との寄託契約対象外です。したがって、本問は工事完了前(未完成物件)の内容なので、手付金等保管事業の対象とすることはできません。よって、誤りです。

令和5年・2023年の宅建過去問

問1
遺産分割(判決文)
問2
相隣関係
問3
請負契約
問4
相殺
問5
不在者
問6
取得時効
問7
配偶者居住権
問8
未成年者
問9
賃貸借
問10
抵当権
問11
借地権
問12
借家権
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法(開発許可)
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
印紙税
問24
不動産取得税
問25
不動産鑑定評価基準
問26
契約書(37条書面)
問27
建物状況調査
問28
業務上の規制
問29
業務上の規制
問30
営業保証金
問31
広告
問32
免許
問33
重要事項説明書(35条書面)
問34
報酬
問35
業務上の規制
問36
クーリングオフ
問37
業務上の規制
問38
宅建士
問39
手付金等の保全措置
問40
媒介契約(専任媒介)
問41
監督処分
問42
重要事項説明書(35条書面)
問43
契約書(37条書面)
問44
保証協会
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
問49
土地
問50
建物