平成28年 問5-4 債権譲渡(改正)
【問題】
Aが、Bに対する債権をCに譲渡した。
Aに対し弁済期が到来した貸金債権を有していたBは、Aから債権譲渡の通知を受けるまでに、異議をとどめない承諾をせず、相殺の意思表示もしていなかった。その後、Bは、Cから支払請求を受けた際に、Aに対する貸金債権との相殺の意思表示をしたとしても、Cに対抗することはできない。
【問題】
Aが、Bに対する債権をCに譲渡した。
Aに対し弁済期が到来した貸金債権を有していたBは、Aから債権譲渡の通知を受けるまでに、異議をとどめない承諾をせず、相殺の意思表示もしていなかった。その後、Bは、Cから支払請求を受けた際に、Aに対する貸金債権との相殺の意思表示をしたとしても、Cに対抗することはできない。
【解答】
× 誤り
異議をとどめない承諾をしても、譲受人が対抗要件を満たすときまでに生じた事由をもって、債務者は譲受人に対抗できる
【解説】
▼問題文の理解
「Aが・・・Cに譲渡した。」何を?「Bに対する債権を」譲渡したわけです。
つまり、AはBに対する債権を持っていて、それをCに譲渡したわけです。(下図ではわかりやすく貸金債権を考えています)
そして、「Aに対し弁済期が到来した貸金債権を有していたBは」と記載されているので、逆に、BはAに対して「貸金債権」を有している状況です。そして、Bが持っている右側の債権は弁済期が到来しているので、Aはすぐにでも返済しないといけない状況です。
この状況で、Bは「Aから債権譲渡の通知を受けるまでに、異議をとどめない承諾をせず、相殺の意思表示もしていなかった」わけです。
つまり、Aから債権譲渡の通知は受けたものの、承諾もしていないし、相殺の意思表示もしていない状況です。
ここからが質問内容です。
この状況で、「Bは、Cから支払請求を受けた際に、Aに対する貸金債権との相殺の意思表示をしたとしても、Cに対抗することはできない。」○か×か?
- BがCに対抗できなければ○
- BがCに対抗できる場合があれば×
です。
▼覚えるべきルールは下記内容です!
「異議をとどめない承諾をしても、譲受人が対抗要件を満たすときまでに生じた事由をもって、債務者は譲受人に対抗できる」
これはどういうことか?
↓
・「譲受人が対抗要件を満たすときまで」とは「Aから債権譲渡の通知を受けるまで」ということです。
・「譲受人が対抗要件を満たすときまでに生じた事由」とは、Aに対し弁済期が到来した貸金債権を有していることから、「相殺できること」を指します。
つまり、債務者Bは、譲受人Cに対して、相殺を主張して対抗できます。
言い換えると、債務者Bは、譲受人Cに対して「相殺したから、あなた(C)に債務の弁済はしません!」と主張できるわけです。
異議をとどめる承諾と異議をとどめない承諾
例えば、Aは、Bに対して貸付金債権を有しており、Aはこの貸付金債権をCに対して譲渡したとします。
一方、BがAに対して反対債権を持っていて相殺できる場合を考えます。
ここでAが「債権をCに譲渡した」旨をBに通知し、Bが「異議をとどめずに承諾」した場合どうなるかを考えます。
異議をとどめない承諾とは、「相殺できる債権を持っていますよ!」と言わないで、債権譲渡を承諾することです。
もし、債務者Bが債権者Aに対して、反対債権を持っており、相殺できたとします。
この状況で、単に、異議をとどめないだけで、相殺できなくなるのは、債務者Bがかわいそうなので、異議をとどめない承諾をしても、承諾するまで(譲受人Cが対抗要件を満たすまで)に「譲渡人Aに生じた事由(契約の無効や上記のような相殺できること)」を、債務者Bは譲受人Cに対しても対抗できます。 つまり、異議をとどめない承諾をしても、債務者Bは相殺できます。異議をとどめる承諾をした場合
上記の例において、債務者Bが「債権譲渡の件は承諾しました。ただ、相殺できる債権を持っていますので、Cには支払いません。」というのが、「異議をとどめる承諾」です。
異議をとどめる承諾をすれば、Bは承諾するまで(譲受人Cが対抗要件を満たすまで)の間に譲渡人に主張できた事由(契約の無効や相殺できる旨など)を譲受人Cに対抗できます。
まとめると、上記の表になります。異議をとどめる承諾もとどめない承諾も、結論は同じです。
平成28年・2016年の過去問
問1 | 民法の条文 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 制限行為能力者 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 意思表示・物権変動 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 債権譲渡 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問6 | 契約不適合責任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 賃貸借・使用者責任 | ア | イ | ウ | |
問8 | 転貸借 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 判決文 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 相続 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 借地権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 国土利用計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 都市計画法・開発許可 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問18 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 印紙税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 不動産取得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | 不動産鑑定評価基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 監督処分 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 媒介契約 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 8種制限 | ア | イ | ウ | エ |
問29 | 業務上の規制 | ア | イ | ウ | エ |
問30 | 重要事項説明・37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問32 | 広告の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問33 | 報酬 | ア | イ | ウ | |
問34 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | 免許 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問36 | 重要事項説明 | ア | イ | ウ | エ |
問37 | 免許の基準・免許換え | ア | イ | ウ | エ |
問38 | 宅地建物取引士 | ア | イ | ウ | エ |
問39 | 35条書面・37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問41 | 宅建業法複合 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問42 | 37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問43 | 手付金等の保全措置 | ア | イ | ウ | エ |
問44 | クーリングオフ | 1 | 2 | 3 | 4 |
問45 | 住宅瑕疵担保履行法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融支援機構 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | - | |||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |