平成19年 問6-4 物権変動 時効
取得時効の完成により乙不動産の所有権を適法に取得した者は、その旨を登記しなければ、時効完成後に乙不動産を旧所有者から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。
取得時効の完成により乙不動産の所有権を適法に取得した者は、その旨を登記しなければ、時効完成後に乙不動産を旧所有者から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。
【解答】
○
時効取得後に第三者が現れた場合、時効取得者と第三者は二重譲渡の対抗関係とみなされるので、登記を備えた方が対抗力を持つ
【解説】
乙不動産の旧所有者:A
乙不動産の所有権を適法に取得した者(=占有者、時効取得者):B
旧所有者Aから取得して所有権移転登記を経た第三者:C
とします。
問題文を整理すると、「Bは登記をしていなければCに対抗できない、○か×か」です。
Aを基点に「A→C」「A→B」と二重譲渡の対抗関係になっているので登記を備えた方が勝ちます。したがって、答えは○です。
時効完成後の第三者・・・本問
時効が完成したことにより、所有権はA→Bとなります。その後、AがCに譲渡しているので、A→Cとなります。つまり、Aを基点とする二重譲渡の対抗関係と考えることができます。二重譲渡の対抗関係では登記を備えた方が勝ちます(対抗できる)。
また、別の考えとして、時効が完成したのであれば、時効取得者Bは登記をすれば、対抗できるにもかかわらず、登記をせずに放っておいた落ち度があります。
そのため、登記を備えたCが保護されます。
本問の類題として一緒に覚えていただきたいのが、時効完成前の第三者です。
時効完成前の第三者
「A所有の甲地につきBの取得時効が完成する前に、Aが甲地をCに譲渡し、その後Bの取得時効が完成した場合」を考えてみましょう。
始めに、A所有の甲地をBが占有し、その後、AがCに甲地を売却し、(まだBが占有中)、その後、Bの時効が完成したという流れです。時系列を図にすると下のようになります。(左から右に時間が流れている)
まず、Cが存在しない場合を考えてみましょう!
基本的な取得時効の問題ですね。
Aは所有権を持っているにもかかわらず、占有しているBに対して裁判上の請求等の時効中断の行為を行わず、一定期間が過ぎるとBの時効が完成します。そのことにより、「Bは登記を備えていなくても」、Aに時効取得を主張できます。
つぎに、Cが出現した場合を考えます。
CはAから甲地を譲り受けた時点から、Bに対して時効中断行為を行える立場にあります。
つまり、CもAと同様の立場にあると考えられます。したがって、CもAと同様に時効中断を行うことができます。
しかし、それを怠って、時効中断を行わなかった結果、Bの時効が完成したら、BはAに対して主張できていた時効取得をCに対しても主張できます。つまり、時効完成前に所有者が変わっても、占有者に何ら影響を与えないということです。AもCも同じ立場として、ひとくくりとみなすわけです。
まとめると、Bは時効完成前の第三者Cに対して、登記がなくても、時効取得を主張できます。
平成19年・2007年の過去問
問1 | 意思表示 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 代理 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 物権変動 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 共有 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 不法行為 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問6 | 物権変動 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 担保物権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 抵当権/根抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 債権譲渡 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 債務不履行 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 契約不適合責任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 相続 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 物権変動 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 国土利用計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問18 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 都市計画法/開発許可 | ア | イ | ウ | |
問21 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 所得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 贈与税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 不動産取得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問29 | 不動産鑑定評価基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問32 | 免許の要否 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問33 | 免許の基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | 35条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問36 | 監督処分/罰則 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問37 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問38 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問39 | 媒介契約 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 重要事項説明/37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問41 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問42 | 報酬 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問43 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問45 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融支援機構 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | ||||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |