平成26年 問2-ウ 代理
代理人は、行為能力者であることを要しないが、代理人が後見開始の審判を受けたときは、代理権が消滅する。
代理人は、行為能力者であることを要しないが、代理人が後見開始の審判を受けたときは、代理権が消滅する。
【解答】
○
制限行為能力者→代理人することはできる/代理人が後見開始の審判を受けた時は代理権は消滅する
【解説】
本問は2つのことを質問されています。
1つ目の質問「代理人は行為能力者であることを要しない」○か×か?
2つ目の質問「代理人が後見開始の審判を受けたときは代理権が消滅する」〇か×か?
結論は上記の通りですがこれは理解しましょう!
■代理人は行為能力者であることを要しない
言い換えると、「制限行為能力者でもあっても有効に代理行為が行える→あとで制限行為能力者を理由に取り消しができない」と言う事です。
これはなぜか?
「代理行為は本人帰属する」というルールがありますね!
つまり、制限行為能力者に代理権を与えて、制限行為能力者が代理行為を行っても、その契約の効果は本人に帰属するわけです!
具体的には、本人Aが未成年者Bに「私(A)の土地を、代わりに売却して!」と代理権を与えたとします。そして、未成年者Bが相手方Cと「Aの土地の売買契約」をしたとします。
この場合、土地の引渡し義務は誰が負いますか?
そうです!本人Aが負います。これが「契約の効果は本人に帰属する」という意味です。
また、「制限行為能力者は無権代理行為をしたとしても責任を負わない」という制限行為能力者を保護するルールもあります。
そのため、制限行為能力者が代理人になっても制限行為能力者にリスクはないので、代理人になれるわけです。
■代理人が後見開始の審判を受けた時は代理権は消滅する
これは、もともと「制限行為能力者ではない人」に代理権を与え、その後、「後見開始の審判を受けた」場合の内容です。
「後見開始を受けた」とは、「成年被後見人」になったと言う事で、重い精神障害になったことを指しています。
では、なぜ、代理人が成年被後見人になると代理権が消滅するのか?
あなたAが、友人Bを信じて「私(A)の土地を、代わりに売却して!」と代理権を与えたとします。
その後、代理人Bが成年被後見人になったら、代理した通り、売買契約ができるかどうか分からないですよね?
契約上のトラブルになりかねません。だから、代理権を消滅させているわけです。
■代理権の消滅事由
死亡 | 破産手続開始決定 | 後見開始 | 解約告知 | ||
---|---|---|---|---|---|
任意代理 | 本人 | ①消滅 | ②消滅 | ⑤消滅しない | ⑧消滅 |
代理人 | ①消滅 | ④消滅 | ⑦消滅 | ⑧消滅 | |
法定代理 | 本人 | ①消滅 | ③消滅しない | ⑥消滅しない | ⑨― |
代理人 | ①消滅 | ④消滅 | ⑦消滅 | ⑨― |
① 任意代理の場合も法定代理の場合も、本人もしくは代理人が死亡した場合は、代理権は消滅する。
② 任意代理の場合、一般的に、「報酬を約束して頼む」場合が多いです。もし、本人が破産してしまうと、代理人が頼まれたことを行っても、報酬が支払われない可能性が生じるから、代理人が困らないよう代理権を消滅させる。
③ そもそも法定代理は本人(未成年者や成年被後見人)を保護するための者なので、本人が破産したからといって、法定代理権が消滅してしまうと、保護する者がいなくなり困ります。だから、法定代理の本人が破産しても、代理権は消滅しない。
④ 任意代理も法定代理も、破産している代理人は信用できないです。だから、代理権が消滅する。
⑤ 任意代理の場合、認知症になる前、つまり、判断能力はあった時に代理権を与えています。その後、認知症になり、後見開始の審判を受けた場合の話ですが、この場合、当時の意思を尊重するために、代理権を消滅させない。
⑥ 法定代理人はそもそも、本人(未成年者等)を保護するための者なので、本人が後見開始の審判を受けたからといって代理権が消滅したら、保護する人がいなくなります。そのため、代理権は消滅しない。
⑦ 法定代理も任意代理も、代理人が認知症になって後見開始の審判を受けてしまうと、代理人が適切な代理行為が出来ない可能性がある。だから、代理権を消滅させる。
⑧ 任意代理はそもそも、本人と代理人の代理契約に基づいているので、本人から解約したり、代理人から解約することも許されている。
⑨ 法定代理はそもそも、本人(未成年者・成年被後見人)を保護するために、法律で定めています。任意代理のように当事者同士で契約をしているわけではないので、親を法定代理人から外す(解任する)ということはない。
平成26年・2014年の過去問
問1 | 民法の条文 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 代理 | ア | イ | ウ | エ |
問3 | 時効・即時取得 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 抵当権・根抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 判決文[債権譲渡] | 改正民法により削除 | |||
問6 | 瑕疵担保責任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 賃貸借 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 不法行為 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 制限行為能力者 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 相続 | 1~4 | |||
問11 | 賃貸借・借地権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 都市計画法 | ア | イ | ウ | |
問17 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問18 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | その他法令 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 登録免許税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 不動産取得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | 地価公示法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 免許の要否 | ア | イ | ウ | エ |
問27 | 免許 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 案内所 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問29 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 8種制限 | ア | イ | ウ | |
問32 | 媒介契約 | ア | イ | ウ | エ |
問33 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問36 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問37 | 報酬 | ア | イ | ウ | |
問38 | 8種制限・クーリングオフ | 1 | 2 | 3 | 4 |
問39 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 37条書面 | ア | イ | ウ | エ |
問41 | 案内所 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問42 | 37条書面 | ア | イ | ウ | |
問43 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 監督処分 | ア | イ | ウ | エ |
問45 | 住宅瑕疵担保履行法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融支援機構 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | |||||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |