令和2年10月 問9-3 贈与
【問題】
Aがその所有する甲建物について、Aを贈与者、Bを受贈者とする負担付贈与契約を締結した場合に関して、Aは、その負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。
【問題】
Aがその所有する甲建物について、Aを贈与者、Bを受贈者とする負担付贈与契約を締結した場合に関して、Aは、その負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。
【解答】
〇
【解説】
負担付贈与契約における贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保責任(契約不適合責任)を負います。
つまり、もらった物について契約不適合があるときには、「履行の追完請求、代金減額請求、契約解除、損害賠償請求」ができます。
よって、正しいです。
【「負担の限度」とは?】
負担付贈与の場合に贈与者(A)が受贈者(B)に対して担保責任を負う範囲を指します。この「負担」とは、負担付贈与において受贈者が履行しなければならない義務のことです。
<具体例>
Aが所有する建物をBに無償で譲渡する代わりに、BはAに対して特定の義務(例:建物の修繕費用の負担や他人への返済義務の引き受けなど)を負う契約を考えます。
この場合の「負担の限度」とは、贈与に付された義務(負担)の価値、またはそれに相当する範囲内で、Aが売主と同じ担保責任を負うという意味です。
例えば、「建物の価値が1,000万円、負担(修繕義務や金銭負担)の価値が300万円」の場合を考えます。
Aの担保責任は「300万円の負担の限度」に限定されます。
仮に建物に隠れた瑕疵があり、受贈者Bが損害を受けたとしても、Aの責任は300万円を超えることはありません。
「Aの責任は300万円を超えない」というのが「負担の限度」です。
契約不適合責任
売主が買主に引き渡すべき目的物は、品質や数量等に関して、売買契約の趣旨に適合したものでなければなりません。
もし、売主が「契約内容に不適合な物」を引き渡した場合は、売主は一定の責任(契約不適合責任:債務不履行)を負わなければなりません。 (=買主は下記①~③の権利(追完請求・代金減額・損害賠償・契約解除の権利)を持つ)
※ 買主に帰責事由(落ち度)がある場合、①追完請求・②代金減額はできない。
①買主の追完請求権
■契約不適合の場合、買主は売主に対して、「目的物の補修(修補請求)」、「代替物の引渡し」または「不足分の引渡し」により履行の追完(不完全なものを完全にしろ!)を請求することができます。=追完請求権
例えば、売主Aが買主Bに売却した建物が、シロアリによって被害を受けていた場合、品質に問題があります。
この場合、買主は、「シロアリに喰われた部分を修理してください!」(=履行の追完請求)と請求することができ、売主はシロアリに喰われて品質が落ちた部分について、あとで完全な品質にする義務(=追完義務)を負います。
買主が補修方法を指定してきた場合、売主は追完の方法を選択できる
追完請求の方法の選択権は、はじめに「買主」にあります。しかし、買主が指定した目的物の補修方法の請求に対して、売主は、「買主に不相当な負担がない場合」、買主が請求した方法と異なる方法で履行の追完をすることができます。どういうことかというと、買主が「シロアリに喰われた部分については、Aという材木を使って修理してください!」を請求した場合、特に買主にとって不利益とならない場合、売主はBという材木を使って修理しても構いませんよ!という意味です。もし、Aという材木が非常に高額だった場合、売主にとっては酷になるからです。
契約内容の不適合が買主の帰責事由による場合
契約内容の不適合が買主の責めに帰すべき事由による場合(買主に責任がある場合)、買主は追完請求はできません。
②買主の代金減額請求権
契約不適合により、買主が代金減額請求権を行使する際、「追完の催告が必要な場合」と「催告が不要な場合」の2つがあります。
ただし、契約不適合が買主の責めに帰すべき事由(落ち度や責任)による場合、買主は代金減額請求はできません。
例えば、上記シロアリの事例で言えば、このシロアリを買主が放した場合です。ありえないでしょうが、イメージとしてとらえてください。
③買主の損害賠償請求権と解除権
買主の損害賠償請求権は、債務不履行のルールを適用します。「種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」というのは、一つの契約違反ともとらえることができるからです。したがって、売主の責めに帰すべき事由がない場合(売主に落ち度がない場合)は損害賠償請求はできないこととなります。(追完請求・代金減額請求は可能)。
解除については下記要件がそろえば、行えます!
「④契約解除」の詳細はこちら>>
令和2年・2020年(10月試験)の宅建過去問
問1 | 囲繞地通行権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 保証 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 契約解除(判決文) | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 賃貸借 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 委任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問6 | 錯誤 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 保証 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 相続 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 売買・贈与 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 時効 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 借地権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 都市計画法(開発許可) | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問18 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | 国土利用計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 印紙税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 不動産取得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | 不動産鑑定評価基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 免許 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 広告 | ア | イ | ウ | エ |
問28 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問29 | 媒介契約 | ア | イ | ウ | エ |
問30 | 報酬計算 | ア | イ | ウ | エ |
問31 | 35条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問32 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問33 | 37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問36 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問37 | 37条書面 | ア | イ | ウ | エ |
問38 | 媒介契約 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問39 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | クーリングオフ | ア | イ | ウ | エ |
問41 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問42 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問43 | 免許 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 35条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問45 | 住宅瑕疵担保履行法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融支援機構 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問47 | 不当表示法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | ||||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |