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平成18年 問2-1 代理

【問題】
AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。しかし、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった。BがCに対し、Aは甲土地の売却に関する代理人であると表示していた場合、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないことをCが過失により知らなかったときは、BC間の本件売買契約は有効となる。

 

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【問題】
AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。しかし、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった。BがCに対し、Aは甲土地の売却に関する代理人であると表示していた場合、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないことをCが過失により知らなかったときは、BC間の本件売買契約は有効となる。

 

【解答】
×

相手方に悪意または過失があると、相手方は表見代理を主張することができない → 契約は有効とはならない

【解説】

宅建過去問平成18年(2006年)問2:無権代理・善意有過失

「BがCに対し、Aは甲土地の売却に関する代理人であると表示していた」という記述から、下表1の「代理権授与の表示による表見代理」が思い浮かびます。

しかし、問題文では
「Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった」
さらに、その後も
「Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないこと」
と記載されていることから、

その後、何らかの理由で「Aの代理権はなくなった」ことが分かります。

理由までは書いてないのでなんともいえないですが、
例えば、初めに代理権は与えたものの、その後、代理権をはく奪した場合などが考えられます。

結果として、無権代理になったのですが、
相手方Cとしては、困ります。

そのため、無権代理においても、相手方を保護する必要がある場合は、相手方を保護するルール(表見代理=契約を有効にする)が適用されます。

■では、Cが表見代理を主張して、本人Bに契約通り、甲土地を売り渡してください!と履行請求するためには(表見代理を主張するには)、どんな要件が必要か?

上記、「代理権を授与していること」については一つの要件を満たしています。

もう一つ要件が必要です。それは相手方Cの善意無過失という要件です。

相手方が代理人について代理権がないことを知っていたり(悪意)、過失によって知らなかったときは、無権代理人の行為は本人に帰属せず本人は責任を負わなくてもよいとされています(相手方は表見代理を主張できない)。

本問では、相手方に過失があるため表見代理は成立しません。そのため、契約は有効とはなりません。

■表見代理の成立要件

無権代理行為の相手方が善意無過失で、かつ下記3パターンのいずれかに該当する場合、表見代理が成立する
※表見代理が成立すると、無権代理の行為は「有効」となり、相手方は本人に対して「履行請求」ができる

.代理権授与の表示による表見代理

実際に本人は代理権を与えていないが、代理権を与えたかのような表示をした場合
例)白紙の委任状を代理人に渡していた場合/本人が相手方に対して「○○さんに代理権を与えたよ」と言った場合

2.権限外の行為による表見代理

代理権の範囲を超えて、代理行為を行った場合
例)賃貸借契約締結の代理権を与えたにもかかわらず、代理人が売買契約を締結してしまった場合

.代理権消滅後の表見代理

以前は代理権を与えていたが、すでに代理権が消滅していた場合
例)与えていた売買契約締結の代理権をはく奪した後、元代理人が売買契約を締結した場合
例)代理権を与えた後に、代理人が破産手続き開始決定を受けた(=代理権消滅事由)後に、代理行為をした場合

■表見代理を主張するとは?

相手方が善意無過失の場合で、かつ、下表1~3のいずれかの条件を満たした場合、契約は有効となり、相手方は本人に、履行を請求できる。 (ニセ代理人だとしても、本人に対して、「契約通り、やるべきことをやってください!」と主張することができる。)
※下表参照 下記1~3見ると、どれも多少なりとも、本人に落ち度があることが分かります。

1であれば、代理権を与えていないのに、与えたかのような表示をする本人に落ち度はあります。

2であれば、代理権の範囲を超えて代理行為をするような者に代理権を与えた、つまり、信頼を裏切るような者を見ぬけずに代理権を与えた本人に落ち度があります。

3も同様。代理権が消滅した後も代理行為をするような者に代理権を与えた、つまり、信頼を裏切るような者を見ぬけずに代理権を与えた本人に落ち度があります。

だから、何の過失もなく知らない相手方を保護しているわけです。


平成18年・2006年の過去問

問1 民法その他 1 2 3 4
問2 1 2 3 4
問3 停止条件 1 2 3 4
問4 1 2 3 4
問5 抵当権 1 2 3 4
問6 請負契約 1 2 3 4
問7 保証 1 2 3 4
問8 債務不履行 1 2 3 4
問9 委任 1 2 3 4
問10 賃貸借 1 2 3 4
問11 不法行為 使用者責任 1 2 3 4
問12 相続等 1 2 3 4
問13 借地権 1 2 3 4
問14 借家権 1 2 3 4
問15 1 2 3 4
問16 1 2 3 4
問17 国土利用計画法 1 2 3 4
問18 都市計画法 1 2 3 4
問19 都市計画法 開発許可 1 2 3 4
問20 都市計画法 開発許可 1 2 3 4
問21 建築基準法 1 2 3 4
問22 建築基準法 1 2 3 4
問23 宅地造成等規制法 1 2 3 4
問24 土地区画整理法 1 2 3 4
問25 農地法 1 2 3 4
問26 所得税 1 2 3 4
問27 1 2 3 4
問28 不動産取得税 1 2 3 4
問29 地価公示 1 2 3 4
問30 免許の基準 1 2 3 4
問31 免許など 1 2 3 4
問32 取引士 1 2 3 4
問33 重要事項説明書 1 2 3 4
問34 営業保証金 1 2 3 4
問35 重要事項説明・35条書面 1 2 3 4
問36 取引士 1 2 3 4
問37
問38 業務上の規制 1 2 3 4
問39 8種制限 1 2 3 4
問40 業務上の規制 1 2 3 4
問41 宅建業法複合 1 2 改正民法に伴い削除 4
問42 業務上の規制 1 2 3 4
問43 報酬計算
問44 1 2 3 4
問45 1 2 3 4
問46 住宅金融公庫法
問47 不当景品類及び不当表示防止法 1 2 3 4
問48 統計
問49 建物 1 2 3 4
問50 1 2 3 4