独学合格プログラム

平成18年 問8-1 債務不履行(改正)

【問題】
AはBとの間で、土地の売買契約を締結し、Aの所有権移転登記手続とBの代金の支払を同時に履行させることとした。決済約定日に、Aは所有権移転登記手続を行う債務の履行の提供をしたが、Bが代金債務につき弁済の提供をしなかったので、Aは履行を拒否した。Bは、履行遅滞に陥り、遅延損害金支払債務を負う。

 

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【問題】
AはBとの間で、土地の売買契約を締結し、Aの所有権移転登記手続とBの代金の支払を同時に履行させることとした。決済約定日に、Aは所有権移転登記手続を行う債務の履行の提供をしたが、Bが代金債務につき弁済の提供をしなかったので、Aは履行を拒否した。Bは、履行遅滞に陥り、遅延損害金支払債務を負う。

 

【解答】

履行の提供をすると、相手方の同時履行の抗弁権を失わせることができ、債務不履行を主張できる

【解説】

「Aの所有権移転登記手続」という記述から、Aが売主ということが分かり、「Bの代金の支払い」という記述から、Bが買主ということが分かります。そして、この「Aの所有権移転登記の債務」と「Bの代金支払い債務」は同時履行の関係にあります。

売主Aは、 所有権移転登記手続を行う債務の履行の提供をしているので、Aは自分のするべき義務は果たしています。それにもかかわらず、買主Bは弁済の提供(代金の支払い)をしなかったので、Bは(履行遅滞)に陥っているわけです。

したがって、売主Aは、買主Bに対して債務不履行を主張することができ、具体的には、損害賠償請求ができます。

また、債権者が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がない場合は、原則、契約解除できます。(催告による解除

※「所有権移転登記手続を行う債務の履行の提供をしている」とはいうのは具体的にいうと、所有権移転の登記をするための書類をそろえて、「いつでも登記できますよ!」と買主Bに伝えることです。

H18-8-1

■同時履行の関係とは

当事者双方が同時に履行することを言います。

例えば、Aさん売主、Bさん買主で土地の売買契約をしたとします。 この場合の多くが、Aさんの「土地を引渡す義務」と、Bさんの「お金を払う義務」は同時に行われます。

同時履行の関係にあるもの

  • 売買契約における、買主の「代金支払い債務」と売主の「引渡し債務+所有権移転協力義務」
  • 契約が解除された場合の売主の「原状回復義務」と買主の「原状回復義務」
    ※売主の原状回復義務:代金返還+利息の支払い
    ※買主の原状回復義務:引渡し+抹消登記+使用したことによる利益(賃料)の支払い
  • 請負契約における注文者の「報酬支払債務」と請負人の「目的物の引渡し債務」
    例) 建築請負の場合、建物を引渡すと同時に報酬を支払うことになります。「建物の完成」と「支払い」が同時ではない点に注意してください!
  • 請負契約における建物に瑕疵があった場合の注文者の「報酬支払債務」と請負人の「瑕疵修補義務に代わる損害賠償債務」
  • 買主Bが売主Aを騙してA所有の土地について売買契約をした後、詐欺取消しによって生じるBの「代金返還請求」とAの「土地の返還請求」
    ⇒詐欺をしたBが得しているように思うかもしれませんが判例なので、そのまま覚えてください。
  • 弁済(代金の支払いなど)と受取証書の交付
  • 借地契約の終了にともない、借地権者が建物買取請求権の行使をした場合の、地主(借地権設定者)の「代金支払い義務」と借地権者の「・建物の明け渡し義務」

同時履行の関係にないもの

  • 賃貸借契約における貸主の「敷金返還債務」と借主の「明渡し債務」 →「借主の明渡し」が先で、その後に「借主は敷金返還請求」ができる。
  • 賃貸借契約における賃貸人の「引渡債務」と、賃借人の「賃料支払債務
    ※賃料の支払い時期は、原則、後払い。(特約で支払い時期を定めることは可能)
  • 抵当権設定契約における抵当権者の「抵当権抹消債務」と抵当権設定者等の「弁済」
    →抵当権設定者等の弁済が先で、その後に、抵当権設定者は抵当権抹消請求ができる。そもそも、抵当権には付従性という性質があるため、借主が弁済した時点で、当然に抵当権は消滅します(登記簿上は残っていますが)。


平成18年・2006年の過去問

問1 民法その他 1 2 3 4
問2 代理 1 2 3 4
問3 停止条件 1 2 3 4
問4 共有 1 2 3 4
問5 抵当権 1 2 3 4
問6 請負契約 1 2 3 4
問7 保証 1 2 3 4
問8 債務不履行 1 2 3 4
問9 委任 1 2 3 4
問10 賃貸借 1 2 3 4
問11 不法行為 使用者責任 1 2 3 4
問12 相続等 1 2 3 4
問13 1 2 3 4
問14 借家権 1 2 3 4
問15 不動産登記法 1 2 3 4
問16 区分所有法 1 2 3 4
問17 国土利用計画法 1 2 3 4
問18 都市計画法 1 2 3 4
問19 都市計画法  1 2 3 4
問20 都市計画法 開発許可 1 2 3 4
問21 建築基準法 1 2 3 4
問22 建築基準法 1 2 3 4
問23 宅地造成等規制法 1 2 3 4
問24 土地区画整理法 1 2 3 4
問25 農地法 1 2 3 4
問26 所得税 1 2 3 4
問27 1 2 3 4
問28 不動産取得税 1 2 3 4
問29 地価公示 1 2 3 4
問30 免許の基準 1 2 3 4
問31 免許など 1 2 3 4
問32 取引士 1 2 3 4
問33 重要事項説明書 1 2 3 4
問34 営業保証金 1 2 3 4
問35 重要事項説明・35条書面 1 2 3 4
問36 取引士 1 2 3 4
問37 37条書面
問38 1 2 3 4
問39 8種制限 1 2 3 4
問40 業務上の規制 1 2 3 4
問41 宅建業法複合 1 2 改正民法に伴い削除 4
問42 業務上の規制 1 2 3 4
問43 報酬計算
問44 保証協会 1 2 3 4
問45 監督処分 1 2 3 4
問46 住宅金融公庫法
問47 不当景品類及び不当表示防止法 1 2 3 4
問48 統計
問49 建物 1 2 3 4
問50 土地 1 2 3 4