平成18年 問10-2 賃貸借
AがB所有の建物について賃貸借契約を締結し、引渡しを受けた場合に関して、AがBの承諾を受けてDに対して当該建物を転貸している場合には、AB間の賃貸借契約がAの債務不履行を理由に解除され、BがDに対して目的物の返還を請求しても、AD間の転貸借契約は原則として終了しない。
AがB所有の建物について賃貸借契約を締結し、引渡しを受けた場合に関して、AがBの承諾を受けてDに対して当該建物を転貸している場合には、AB間の賃貸借契約がAの債務不履行を理由に解除され、BがDに対して目的物の返還を請求しても、AD間の転貸借契約は原則として終了しない。
【解答】
×
賃借人の債務不履行による解除 → 賃貸人が転借人に目的物の返還を請求したときに転貸借は終了
【解説】
本問は賃貸人Bが賃借人Aに建物を貸し、賃借人AがBの承諾を得て転借人Dに転貸(又貸し)をした場合の話です。
そして、「Aの債務不履行」というのは、例えば、Aが賃料を払わなかったことを指しています。
賃料不払いによりAB間の賃貸借契約が終了した場合、転借人Dはどうなるのか?というのが本問の問題です。
賃借人の債務不履行による解除の場合、賃貸人Bが転借人Dに対して「建物を返してください!」と請求したときに転貸借契約は終了します。
また、AB間の契約終了の前に、賃貸人Bは、Dに対して「Aが支払わない賃料」の支払機会を与える必要はなく、AB間の契約をする場合、Aにのみ催告するだけでよいと判例では言っています。
これは一見すると、転借人がかわいそうなのでは?と思われますが、以下のように整理するとイメージできるかもしれません。
そもそも、 「転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負います」つまり、賃貸人の立場からすると「賃借人A」にも「転借人D」 にも賃料の支払いを請求できるし、また、債務不履行責任の追求をできるわけです。したがって、Aが賃料を支払ないだけでAだけでなくDにも債務不履行を主張できるイメージです。
ここで注意が必要なのは、AB間の賃料が10万円、AD間の賃料が12万円の場合、BはAに対しては、契約通り10万円まで、Dに対しては賃料と転貸料の小さい方(10万円)までしか請求することができないということです。そして、AがDから10万円の支払いを受ければAの10万円分の賃料債権は消滅するため、Aは残り2万円しかDに対して請求できなくなります。
もしAB間の賃料が10万円、AD間の賃料が8万円の場合、BはAに対しては、契約通り10万円まで、Dに対しては賃料と転貸料の小さい方(8万円)までしか請求することができないということです。
賃貸借契約の終了と転貸借の終了の関係
賃貸借の終了原因 | 転貸借の終了時点 |
---|---|
①賃貸借の合意解除 |
賃貸人は、転借人に対抗できない。
=転貸借契約は当然には終了しない。
【注意】
合意解除の時に、賃貸人が解除権を持っていた場合(例えば、賃借人がすでに賃料を滞納していて、催告したにもかかわらず、支払わらず、賃貸人が解除できる状況だった場合)、「合意解除」のルールではなく、「③債務不履行による解除」のルールが適用されます。 |
②期間満了もしくは解約申入れにより終了 | 賃貸人から転借人へ通知した日から6ヵ月を経過したとき転貸借は終了。 =転借人には通知しなければならない。賃借人には通知不要。 |
③賃借人の債務不履行による解除 (賃借人の賃料不払いなど) | 賃貸人が転借人に目的物の返還を請求したときに転貸借は終了。 =転借人は賃貸人に対抗できない。 そして、賃貸人は賃借人に催告するだけでよく、転借人に支払の機会を与える必要はない。 |
平成18年・2006年の過去問
問1 | 民法その他 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 代理 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 停止条件 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 共有 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問6 | 請負契約 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 保証 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 債務不履行 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 委任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 賃貸借 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 不法行為 使用者責任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 相続等 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 借地権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 国土利用計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問18 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 都市計画法 開発許可 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 都市計画法 開発許可 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 所得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 印紙税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 不動産取得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問29 | 地価公示 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 免許の基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 免許など | 1 | 2 | 3 | 4 |
問32 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問33 | 重要事項説明書 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | 重要事項説明・35条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問36 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問37 | 37条書面 | ア | イ | ウ | |
問38 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問39 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問41 | 宅建業法複合 | 1 | 2 | 改正民法に伴い削除 | 4 |
問42 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問43 | 報酬計算 | ア | イ | ウ | |
問44 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問45 | 監督処分 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融公庫法 | - | |||
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | - | |||
問49 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |