独学合格プログラム

平成18年 問8-2 債務不履行(改正)

【問題】
AはBとの間で、土地の売買契約を締結し、Aの所有権移転登記手続とBの代金の支払を同時に履行させることとした。決済約定日に、Aは所有権移転登記手続を行う債務の履行の提供をしたが、Bが代金債務につき弁済の提供をしなかったので、Aは履行を拒否した。Aは、一旦履行の提供をしているので、これを継続しなくても、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内にBが履行しないときは土地の売買契約を解除できる。

 

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【問題】
AはBとの間で、土地の売買契約を締結し、Aの所有権移転登記手続とBの代金の支払を同時に履行させることとした。決済約定日に、Aは所有権移転登記手続を行う債務の履行の提供をしたが、Bが代金債務につき弁済の提供をしなかったので、Aは履行を拒否した。Aは、一旦履行の提供をしているので、これを継続しなくても、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内にBが履行しないときは土地の売買契約を解除できる。

 

【解答】

いったん履行を提供すれば、履行の提供は継続する必要はない

【解説】

H18-8-2-k

売主Aは、 所有権移転登記手続を行う債務の履行の提供をしていて、買主Bは代金の支払い債務の履行(弁済)を提供していません。つまり、買主Bは履行遅滞に陥っているわけです。そして、判例では、売主Aが履行遅滞を理由に契約解除するために、売主Aは履行の提供を継続する必要はないとしています。つまり、Aは、相当の期間を定めて履行を催告し、Bが履行しないときは、Bとの契約を解除することができます。

契約解除には「催告による解除」と「無催告解除(催告をせずに解除できる)」の2つがあります。

催告による解除

債務不履行(債務者の帰責事由)は要件ではない =債務者の責任がなくても、履行しない場合、催告して解除できる

saikoku-kaijo

※「軽微」とは、例えば、登記義務について、書類の一部が足りず、すぐ用意はできるけど、時間がなく登記できなかった場合等

※催告による解除、下記無催告解除いずれにおいても債務者に過失等がなくても(帰責事由がなくても)、解除することができる

【理由】 」とは、債権者が、契約の拘束からの解放できるようにするための制度。そのため、債務者の過失の有無は関係ない。

催告をしなくても解除(無催告解除)ができる場合

  1. 履行不能の場合 →契約成立後、建物が火災で滅失した場合
  2. 債務者が債務の全部の履行を拒絶している場合 →土地の売買契約締結後、売主が「土地を引き渡しません!」と拒絶している場合
  3. 「債務の一部が履行不能」または「債務者が債務の一部を履行を拒絶」によって残存する部分のみでは契約の目的を達成できない場合 →隣接する2つ土地の売買契約締結後、売主が「一つの土地は引き渡しません!」と拒絶しており、他方の土地だけでは、希望の建物が建築できない場合
  4. 特定の日時・一定期間内に債務を履行をしないと目的を達成できない場合に、その時期が過ぎた場合 →結婚式の宴会に有名人Aに歌を披露してもらう契約をして、結婚式当日にAがこれなくなった場合、意味がないので、催告なしで解除できる
  5. 上記①~④以外でも債務者が債務を履行せず、催告しても履行の見込みがないことが明らかな場合 →建築請負契約締結したにもかかわらず、当該建築するための機材や人員が足らない場合(注文者が催告したとしても、請負人は建物を完成できる見込みがないから) 

債権者の過失等(帰責事由)により債務不履行となった場合どうなるか?

債権者の過失等(帰責事由)により債務不履行となった場合、債権者は契約解除できない!

例えば、A所有の甲地に、建物を建築してもらうよう建築業者Bと請負契約を締結した。しかし、注文者Aは甲地に廃車を積み上げて、B(債務者)が建物建築できない場合、注文者A(債権者)の責任なので、注文者Aからは契約解除はできない。

解除の効果(解除をするとどうなるか?)

  1. 原則:原状回復義務が生じる 例えば、①AB間で土地の売買契約を締結し、売主Aは土地を引渡し、買主Bは代金を支払った。その後、契約解除になった場合、売主は「代金を返還する義務」が生じ、買主は「土地を返還する義務」が生じる
  2. 例外:第三者の権利を害することはできない 例えば、①について、契約解除前に、買主Bが第三者Cに当該土地を売却し、Cが所有権の登記を備えた場合、Cの権利は保護され、解除することで、Cから所有権を奪うことはできません。(=AはCに対抗できない)
  3. 金銭を返還する場合、受領時からの利息も返還 ①について、売主が受領した代金を買主に返還する場合、受領した時からの利息を付けて返還しなければならない
  4. 金銭以外の物を返還する場合は、受領時からの果実も返還 ①について、買主が引渡しを受けた土地を返還する場合、引渡しを受けたときからの賃料相当分(=果実)を売主に支払う必要がある
  5. 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない ①について、契約解除となったとしても、損害賠償請求はできる 


平成18年・2006年の過去問

問1 1 2 3 4
問2 代理 1 2 3 4
問3 停止条件 1 2 3 4
問4 共有 1 2 3 4
問5 抵当権 1 2 3 4
問6 請負契約 1 2 3 4
問7 1 2 3 4
問8 債務不履行 1 2 3 4
問9 委任 1 2 3 4
問10 賃貸借 1 2 3 4
問11 不法行為 使用者責任 1 2 3 4
問12 相続等 1 2 3 4
問13 借地権 1 2 3 4
問14 借家権 1 2 3 4
問15 不動産登記法 1 2 3 4
問16 1 2 3 4
問17 国土利用計画法 1 2 3 4
問18 都市計画法 1 2 3 4
問19 都市計画法 開発許可 1 2 3 4
問20 都市計画法 開発許可 1 2 3 4
問21 建築基準法 1 2 3 4
問22 建築基準法 1 2 3 4
問23 宅地造成等規制法 1 2 3 4
問24 土地区画整理法 1 2 3 4
問25 農地法 1 2 3 4
問26 所得税 1 2 3 4
問27 印紙税 1 2 3 4
問28 不動産取得税 1 2 3 4
問29 地価公示 1 2 3 4
問30 1 2 3 4
問31 免許など 1 2 3 4
問32 取引士 1 2 3 4
問33 重要事項説明書 1 2 3 4
問34 営業保証金 1 2 3 4
問35 重要事項説明・35条書面 1 2 3 4
問36 取引士 1 2 3 4
問37
問38 業務上の規制 1 2 3 4
問39 8種制限 1 2 3 4
問40 業務上の規制 1 2 3 4
問41 宅建業法複合 1 2 改正民法に伴い削除 4
問42 業務上の規制 1 2 3 4
問43 報酬計算
問44 保証協会 1 2 3 4
問45 監督処分 1 2 3 4
問46 住宅金融公庫法
問47 不当景品類及び不当表示防止法 1 2 3 4
問48 統計
問49 1 2 3 4
問50 土地 1 2 3 4