平成14年 問41-1 担保責任の特約制限 8種制限
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、買主Bとの売買契約において、物件が競売で取得した中古住宅であるため、現状有姿とし、Bが行う契約不適合責任を追及するための通知期間を 「引渡しから半年まで」 と定めた契約書の条項は有効である。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、買主Bとの売買契約において、物件が競売で取得した中古住宅であるため、現状有姿とし、Bが行う契約不適合責任を追及するための通知期間を 「引渡しから半年まで」 と定めた契約書の条項は有効である。
【解答】
×
担保責任に関する特約 → 買主が行う契約不適合の旨の通知期間について「引渡しの日から2年」以上のみ。この特約以外で、民法より不利な特約は無効(違反)となる
【解説】
売主が宅建業者、買主が非宅建業者として担保責任に関する特約をする場合、契約不適合責任を追及するために買主が行う通知についての期間を「引渡しの日から2年」以上とする特約は有効ですが、これよりも買主にとって不利な特約は無効です。
つまり、本問の「買主が行う契約不適合責任を追及するための通知期間を 引渡しから半年まで」 と定める条項は「引渡しから2年」より短いので、買主に不利な特約となります。よって、無効です。
したがって、本問は誤りです。
無効となった場合、民法の原則に戻るので、買主Bが行う契約不適合責任を追及するための通知期間は、「買主が契約不適合を知ってから1年間」となります。
ちなみに、現状有姿で引渡すとは、「引渡しの時の状態のまま引渡す」という意味です。そして、「現状有姿で引渡す特約」は有効です。
担保責任の特約制限(宅建業法)
宅建業法における「担保責任の特約制限」に関する問題です。これを理解する為には、民法の契約不適合責任をまず頭に入れる必要があります。
民法の契約不適合責任
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、 買主は、その不適合を理由として、①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除をすることができくなります。
つまり、売主が、契約内容に適合しない不動産を引渡した場合、買主は不適合を知ってから1年以内に「この部分が不適合ですよ!」と通知しないと、買主は、売主に対して責任追及できなくなる(①~④の権利を行使できなくなる)ということです。
宅建業法の担保責任の特約制限
宅建業法では、売主が宅建業者・買主が非宅建業者の場合、契約不適合に関する通知期間を「その目的物の引渡しの日から2年以上となる特約」は許される(有効)が、それ以外の特約については、民法の契約不適合責任の規定より買主に不利となる特約をしてはならない(無効となる)としています。
↓
無効となった場合、民法の原則に立ち返り、 買主は、売主業者に対して、契約不適合に関する通知期間は「契約不適合を知ってから1年以内」に行えばよいことになります。
【具体例】
宅建業者が自ら売主として宅建業者でない者に対して建物を販売した場合、契約不適合責任の通知期間を
- 引き渡しの日から1年と特約した場合⇒無効⇒民法の原則に戻って、買主の通知期間は「買主が契約不適合を知った時から1年」となる
- 引き渡しの日から2年と特約した場合⇒有効
- 引き渡しの日から3年と特約した場合⇒有効
- 買主が契約不適合を知った日から6か月とする特約をした場合⇒無効⇒民法の原則に戻って、買主の通知期間は「買主が契約不適合を知った時から1年」となる
- 買主が契約不適合を知った日から1年とする特約をした場合⇒有効(民法通りだから)
- 買主が契約不適合を知った日から1年半とする特約をした場合⇒有効(民法より買主に有利だから)
- 買主が契約不適合を知った日から2年とする特約をした場合⇒有効(民法より買主に有利だから)
また、特約で、「契約不適合がある場合、買主は損害賠償請求のみできる」とした場合、民法(①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除ができる)よりも不利になるので、無効となり、民法通り、「①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除」ができるとなる。
※ 民法上、買主に帰責事由がある場合、①②④はできない
※ 民法上、売主に帰責事由がない場合、③はできない
平成14年・2002年の過去問
問1 | 詐欺 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 代理 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 占有権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 相隣関係/地役権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 質権/担保物権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問6 | 抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 債務不履行 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 債務不履行 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 契約不適合責任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 委任契約 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 使用者責任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 相続 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 借地権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 不動産登記法 | 法改正により削除 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 国土利用計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問18 | 都市計画法・開発許可 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 都市計画法・開発許可 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | その他法令 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | その他法令 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 所得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 登録免許税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 固定資産税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問29 | 不動産鑑定評価基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 免許の要否 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 宅建業法総合 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問32 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問33 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 媒介契約 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問36 | 宅建業法総合 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問37 | 35条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問38 | 35条書面・37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問39 | 監督処分 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問41 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問42 | 案内所 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問43 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 監督処分 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問45 | クーリングオフ | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融公庫 | 法改正により削除 | |||
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | ||||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |