平成21年 問37-2 解約手付
自らが売主である宅地建物取引業者Aと、宅地建物取引業者でないBとの間での売買契約に関して、AとBが締結した建物の売買契約において、Bが手付金の放棄による契約の解除ができる期限について、金融機関からBの住宅ローンの承認が得られるまでとする旨の定めをした。この場合において、Aは、自らが契約の履行に着手する前であれば、当該承認が得られた後は、Bの手付金の放棄による契約の解除を拒むことができる。
自らが売主である宅地建物取引業者Aと、宅地建物取引業者でないBとの間での売買契約に関して、AとBが締結した建物の売買契約において、Bが手付金の放棄による契約の解除ができる期限について、金融機関からBの住宅ローンの承認が得られるまでとする旨の定めをした。この場合において、Aは、自らが契約の履行に着手する前であれば、当該承認が得られた後は、Bの手付金の放棄による契約の解除を拒むことができる。
【解答】
×
「売主が宅建業者」「買主が非宅建業者」の場合、買主が交付する手付は「解約手付」とみなされる
解約手付 → 売主が履行に着手するまでであれば、買主は、手付金を放棄して契約解除できる
上記より買主にとって不利な特約は無効
【解説】
まず、「自らが売主である宅地建物取引業者Aと、宅地建物取引業者でないBとの間での売買契約」なので、買主Bが売主業者Aに交付する手付金は「解約手付」とみなされます。
解約手付とみなされるということは、買主Bが手付金の放棄による契約の解除ができる期限は「売主が履行に着手するまで」と宅建業法で決まっています。
これより、買主にとって不利な特約は無効となります。
「売主が履行に着手する」の具体例は、「売主が買主の希望に応じて建築材料の発注をしたり建築に着工した場合」等があります。
では、本問を見てみましょう!
買主Bが手付金の放棄による契約の解除ができる期限を「金融機関からBの住宅ローンの承認が得られるまで」と決めています。
ということは、売主業者Aが建築に着工していない(履行に着手していない)にもかかわらず、買主Bの住宅ローンの承認を得てしまったら解除できないことになってしまいます。
これは買主にとって不利です。
したがって、本特約は無効となるので、売主業者Aは買主Bの「手付放棄による解除」を拒むことができません。
言い換えれば、買主Bは手付金を放棄して、解除できるということです。
解約手付
手付とは、契約する際に支払うお金等を言います。手付が交付されている場合、相手が履行に着手するまでの間は
・買主は手付を放棄すれば契約解除でき、(手付放棄) ・売主は手付の倍額を買主に支払えば契約解除できます。(手付倍返し)買主の履行について、「中間金を払いますよ!」と言っただけ(口頭の提供)では履行の着手をしたことにはなりません。現実に中間金を持って払いに行かないと(現実の提供をしないと)履行の着手とは言えません。
同様に、売主であれば、「土地を引き渡します!」と言っただけでは履行に着手したことにはなりません。
※ポイントは、「相手方」が履行に着手するまでは 「手付放棄」や「手付倍返し」を理由に契約解除できるということで、 自分が履行に着手しているかどうかは関係ないということです。
★売主から解約する場合、単に「手付金の倍額を返すので契約解除します!」と書面で通知するだけでは解除できません。現実に手付金の倍額を償還(交付)することで解除することができます。
例 :買主が手付金として100万円を売主に支払った後に、
① 買主が解除する場合
売主が履行に着手する前であれば、手付金として支払った100万円をそのまま売主にあげることで解除できる
② 売主が解除する場合
買主が履行に着手する前であれば、手付金として受け取った100万円にプラス100万円を売主が上乗せして(合計200万円)買主に渡すことで解除できる。
平成21年・2009年の過去問
問1 | 錯誤 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 代理 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 時効 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 相隣関係 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 担保物権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問6 | 抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 法定地上権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 解除 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 贈与 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 契約不適合責任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 借地権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 借家権 | 1 | 2の前半 | 3の前半 | 4の前半 |
2の後半 | 3の後半 | 4の後半 | |||
問13 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 国土利用計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 都市計画法・開発許可 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問18 | 建築基準法 | ア | イ | ウ | エ |
問19 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 登録免許税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 印紙税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | 地価公示法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 免許 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 免許の基準 | ア | イ | ウ | エ |
問28 | 免許 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問29 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限 | ア | イ | ウ | - |
問32 | 媒介契約 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問33 | 35条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 宅建業法複合 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | 37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問36 | 37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問37 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問38 | 担保責任の特約制限 | ア | イ | ウ | |
問39 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問41 | 報酬計算 | 報酬計算 | |||
問42 | 案内所 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問43 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問45 | 監督処分 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融支援機構 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | ||||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |