平成20年 問41-3 手付金額の制限
宅地建物取引業者Aが自ら売主として、買主Bとの間で締結した売買契約に関して、Aは、宅地建物取引業者でないBとの間で建築工事完了前の建物を1億円で販売する契約を締結し、法第41条に規定する手付金等の保全措置を講じた上で、1500万円を手付金として受領した。
宅地建物取引業者Aが自ら売主として、買主Bとの間で締結した売買契約に関して、Aは、宅地建物取引業者でないBとの間で建築工事完了前の建物を1億円で販売する契約を締結し、法第41条に規定する手付金等の保全措置を講じた上で、1500万円を手付金として受領した。
【解答】
違反しない(○)
手付金額の制限 → 代金の2割を超える手付金を受領できない
【解説】
本問は未完成物件なので、代金の5%または1000万円を超える場合に保全措置が必要となります。
ここで代金の5%とは、500万円です。
つまり、手付金や中間金等の物件の引渡し前に支払われる金銭の合計(代金に充当されない金銭は含まない)が500万円を超える場合、
手付金等の保全措置を講じる必要があります。
本問では手付金が1500万円なので、保全措置は必要となります。
本問は保全措置を講じているので「手付金等の保全措置」のルールには違反しません。
次に、「手付金額の制限」を考えると、売主業者は代金の10分の2を超える手付金を受領することはできません。
代金の2割(10分の2)とは2000万円です。
本問は手付金として1500万円を受領しているので「手付金額の制限」にも違反していません。
つまり、本問は宅建業法に違反していません。
したがって、売主業者Aは手付金等の保全措置を講じた上で、1500万円を手付金として受領することができます。
違反するかどうかを問われている場合、原則、問題文に関連する宅建業法すべてを考える必要があります!
そのため、今回は手付金等の保全措置や手付金額の制限を考えたわけです。
手付金等の保全措置
手付金等とは?
手付金、中間金など代金に充当されるもので、契約締結から物件引渡しまでに買主が支払う金銭のこと
※申込証拠金は、契約成立後、代金に充当される場合、「手付金等」に含む
手付金等の保全措置(原則)
原則、宅建業者は、自ら売主(買主:宅建業者以外)となる売買契約において、手付金等の保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはいけない
※「手付金額の制限」では「手付金」のみを対象としており、手付金等保全措置は「手付金+中間金など」を対象としているので注意!
※保全措置が必要なのは「売主業者」であって、媒介業者は保全措置を講じなくてよい。
手付金等の保全措置(例外)
手付金等の合計金額が下記の場合は例外として保全措置不要
保全措置の方法
- 保証委託契約とは、銀行等が宅建業者の連帯保証をする契約です。
→手付金等の返還債務の全部を保証するものであることが要件 - 保証保険契約とは、万一の場合、保険会社が買主に手付金等を保険金として支払う契約です。
→保険期間は建物の引渡しまでの期間であることが要件(工事完了までではない!) - 指定保管機関による保管とは宅建保証協会等が手付金などを預かることです。
保全措置を行わない場合
宅建業者が、保全措置の必要であるにもかかわらず、保全しない場合、買主は手付金等の支払いを拒むことができる。そして、そのことで支払が遅れても買主は債務不履行(履行遅滞)には陥らない。
手付金額の制限
例) 宅建業者の売主Aが、宅建業者でない買主Bに対して、3000万円のマンション一室を売却する場合、
3000万円の2割である600万円を超える「手付金」を受領してはいけません。
つまり、Aが手付金として600万円を受領することは違反ではないが、601万円を受領することは違反になります。
ちなみに、中間金については上限はありません。
平成20年・2008年の過去問
問1 | 制限行為能力者 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 物権変動 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 代理 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 詐害行為取消権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問6 | 連帯債務と連帯保証 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 委任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 弁済 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 契約不適合責任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 不法行為 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 遺言 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 賃貸借 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 国土利用計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問18 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 都市計画法/開発許可 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | その他法令 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 所得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 印紙税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 固定資産税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問29 | 不動産鑑定評価基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 免許・取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 免許の基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問32 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問33 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | 媒介契約 | ア | イ | ウ | |
問36 | 重要事項説明 | ア | イ | ウ | エ |
問37 | 重要事項説明・35条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問38 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問39 | クーリングオフ | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問41 | 手付金等の保全措置 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問42 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問43 | 報酬 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問45 | 監督処分 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融支援機構 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | ||||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |