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平成20年 問9-2 契約不適合責任(改正)

【問題】
宅地建物取引業者であるAが、自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者でないBに売却した場合、甲土地に設定されている契約内容に適合しない抵当権が実行されてBが所有権を失った場合、Bが甲土地に抵当権が設定されていることを知っていたとしても、BはAB間の売買契約を解除することができる。(改)

 

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【問題】
宅地建物取引業者であるAが、自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者でないBに売却した場合、甲土地に設定されている契約内容に適合しない抵当権が実行されてBが所有権を失った場合、Bが甲土地に抵当権が設定されていることを知っていたとしても、BはAB間の売買契約を解除することができる。(改)

 

【解答】

契約内容に適合しない抵当権が付着 → 契約不適合責任 → 解除権あり

【解説】

H20-9-2-1

目的物に契約内容に適合しない地上権・賃借権・質権、抵当権等が付着している場合

売買契約をした不動産にこれらの権利が付着していると、買主は、不動産を購入してもその不動産を利用することができなかったり、競売(オークション)にかけられて所有権を失いかねません。そのため、これらに該当する不動産を購入して、売主が「賃借権・地上権」「」「質権」等を消滅させない場合、買主は、「①追完請求権」「②代金減額請求権」「③損害賠償請求権および解除権」を持ちます。

※買主が、これらの権利が付着していることを知っている場合(悪意)でも、①~③の権利は有します。

※買主は、抵当権が実行される前でも上記①~③の権利を行使できる

抵当権のついた物件の売買をし、その後、抵当権の実行により所有権を失った場合、売主Aは、買主Bに甲土地を引き渡すことができなくなるので(無催告解除の要件:履行不能)、抵当権が付着していることについて買主の善意・悪意関係なく、契約解除ができます。したがって、本問は買主が悪意ですが、解除できます

したがって、本肢は正しいです。

本肢は、下記「無催告解除」にあたります。

契約解除には「催告による解除」と「無催告解除(催告をせずに解除できる)」の2つがあります。

催告による解除

債務不履行(債務者の帰責事由)は要件ではない =債務者の責任がなくても、履行しない場合、催告して解除できる

saikoku-kaijo

※「軽微」とは、例えば、登記義務について、書類の一部が足りず、すぐ用意はできるけど、時間がなく登記できなかった場合等

※催告による解除、下記無催告解除いずれにおいても債務者に過失等がなくても(帰責事由がなくても)、解除することができる

【理由】 「解除」とは、債権者が、契約の拘束からの解放できるようにするための制度。そのため、債務者の過失の有無は関係ない。

催告をしなくても解除(無催告解除)ができる場合

  1. 履行不能の場合 →契約成立後、建物が火災で滅失した場合
  2. 債務者が債務の全部の履行を拒絶している場合 →土地の売買契約締結後、売主が「土地を引き渡しません!」と拒絶している場合
  3. 「債務の一部が履行不能」または「債務者が債務の一部を履行を拒絶」によって残存する部分のみでは契約の目的を達成できない場合 →隣接する2つ土地の売買契約締結後、売主が「一つの土地は引き渡しません!」と拒絶しており、他方の土地だけでは、希望の建物が建築できない場合
  4. 特定の日時・一定期間内に債務を履行をしないと目的を達成できない場合に、その時期が過ぎた場合 →結婚式の宴会に有名人Aに歌を披露してもらう契約をして、結婚式当日にAがこれなくなった場合、意味がないので、催告なしで解除できる
  5. 上記①~④以外でも債務者が債務を履行せず、催告しても履行の見込みがないことが明らかな場合 →建築請負契約締結したにもかかわらず、当該建築するための機材や人員が足らない場合(注文者が催告したとしても、請負人は建物を完成できる見込みがないから) 

債権者の過失等(帰責事由)により債務不履行となった場合どうなるか?

債権者の過失等(帰責事由)により債務不履行となった場合、債権者は契約解除できない!

例えば、A所有の甲地に、建物を建築してもらうよう建築業者Bと請負契約を締結した。しかし、注文者Aは甲地に廃車を積み上げて、B(債務者)が建物建築できない場合、注文者A(債権者)の責任なので、注文者Aからは契約解除はできない。

解除の効果(解除をするとどうなるか?)

  1. 原則:原状回復義務が生じる 例えば、①AB間で土地の売買契約を締結し、売主Aは土地を引渡し、買主Bは代金を支払った。その後、契約解除になった場合、売主は「代金を返還する義務」が生じ、買主は「土地を返還する義務」が生じる
  2. 例外:第三者の権利を害することはできない 例えば、①について、契約解除前に、買主Bが第三者Cに当該土地を売却し、Cが所有権の登記を備えた場合、Cの権利は保護され、解除することで、Cから所有権を奪うことはできません。(=AはCに対抗できない)
  3. 金銭を返還する場合、受領時からの利息も返還 ①について、売主が受領した代金を買主に返還する場合、受領した時からの利息を付けて返還しなければならない
  4. 金銭以外の物を返還する場合は、受領時からの果実も返還 ①について、買主が引渡しを受けた土地を返還する場合、引渡しを受けたときからの賃料相当分(=果実)を売主に支払う必要がある
  5. 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない ①について、契約解除となったとしても、損害賠償請求はできる 

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平成20年・2008年の過去問

問1 制限行為能力者 1 2 3 4
問2 物権変動 1 2 3 4
問3 代理 1 2 3 4
問4 抵当権 1 2 3 4
問5 詐害行為取消権 1 2 3 4
問6 連帯債務と連帯保証 1 2 3 4
問7 委任 1 2 3 4
問8 弁済 1 2 3 4
問9 契約不適合責任 1 2 3 4
問10 1 2 3 4
問11 1 2 3 4
問12 遺言 1 2 3 4
問13 賃貸借 1 2 3 4
問14 借家権 1 2 3 4
問15 1 2 3 4
問16 不動産登記法 1 2 3 4
問17 国土利用計画法 1 2 3 4
問18 1 2 3 4
問19 都市計画法/開発許可 1 2 3 4
問20 建築基準法 1 2 3 4
問21 建築基準法 1 2 3 4
問22 宅地造成等規制法 1 2 3 4
問23 土地区画整理法 1 2 3 4
問24 農地法 1 2 3 4
問25 その他法令 1 2 3 4
問26 所得税 1 2 3 4
問27 印紙税 1 2 3 4
問28 固定資産税 1 2 3 4
問29 不動産鑑定評価基準 1 2 3 4
問30 免許・取引士 1 2 3 4
問31 免許の基準 1 2 3 4
問32 業務上の規制 1 2 3 4
問33 取引士 1 2 3 4
問34 営業保証金 1 2 3 4
問35
問36 重要事項説明
問37 重要事項説明・35条書面 1 2 3 4
問38 業務上の規制 1 2 3 4
問39 クーリングオフ 1 2 3 4
問40 8種制限 1 2 3 4
問41 手付金等の保全措置 1 2 3 4
問42 業務上の規制 1 2 3 4
問43 報酬 1 2 3 4
問44 保証協会 1 2 3 4
問45 監督処分 1 2 3 4
問46 住宅金融支援機構 1 2 3 4
問47 不当景品類及び不当表示防止法 1 2 3 4
問48 統計
問49 土地 1 2 3 4
問50 建物 1 2 3 4