平成20年 問5-3 詐害行為取消権(改正)
Aは、Bに対する債権者であるが、Bが債務超過の状態にあるにもかかわらずB所有の甲土地をCに売却し所有権移転登記を経たので、民法第424条に 基づく詐害行為取消権について、Bが甲土地の売却においてCから相当の対価を取得しているときは、Aは取消権を行使できない。
Aは、Bに対する債権者であるが、Bが債務超過の状態にあるにもかかわらずB所有の甲土地をCに売却し所有権移転登記を経たので、民法第424条に 基づく詐害行為取消権について、Bが甲土地の売却においてCから相当の対価を取得しているときは、Aは取消権を行使できない。
【解答】
×
相当の対価での売却であっても、「債務者が売買代金を隠匿する(隠す)意思を有している」等の場合は、詐害行為の対象となる
【解説】
まず、状況を理解します。まず、「Aは、Bに対する債権者である」という記述から債権者Aで債務者がBということが分かりますが、もう少し分かりやすくするために、AがBに対してお金を貸していたとします。そして、「Bが債務超過の状態にある」という記述からBが持っている資産よりも負債の方が多い状況だということです。この状況で、債務者Bが甲土地をCに売却したわけです。
ここでいう、「詐害行為」とは、「債務者Bが甲土地をCに売却した」ことを指します。
ここで、債務者Bが甲土地をCに売却した金額が相当な対価で売却したとしても、不動産が金銭に変わることで、債務者Bはすぐに消費してしまう可能性が高まります。そうなると、債権者は貸したお金を返してもらえなくなるので困ります。
そこで、「債務者Bが売買代金を隠匿する(隠す)意思を有している」等の場合は、詐害行為取消権が可能です。
したがって、不動産の売却行為は、相当価格でなされたものであっても、詐害行為となり、詐害行為取消権の要件を満たせば、Aは詐害行為取消権を行使できます。
詐害行為取消請求権とは
「詐害行為」とは債権者に害の及ぶことを知りながら自己の財産を減少させる債務者の行為を言います。
例えば、債権者Aが債務者Bに1,000万円を貸したとします。この場合、債権者は「貸金債権」を有します。
そして、債務者Bが無資力で唯一の財産として甲地を所有していたとします。
このような場合、債権者Aとしては、この甲地を差し押さえて、競売にかける等して、貸した1,000万円を返してもらいたいと期待するわけです。
それにもかかわらず、債務者Bが第三者Cに甲地を売却してしまったら、差し押さえる甲地がなくなるため債権者Aは困ります。
もちろん、甲地を売却することで金銭に換わるので、この状況では債務者の財産は減少していません。
「債務者Bが売買代金を隠匿する(隠す)意思を有している場合」等の場合は、詐害行為取消権が可能です。つまり、BC間の売買契約を取り消すことで、所有権をBに戻すことができるわけです。
これが詐害行為取消権です。
詐害行為取消請求権の要件
詐害行為取消請求権のその他のポイント
詐害行為取消権で一番出題されるのは、上記取消権を行使できる要件です。 それ以外のポイントは下記のとおりです。
平成20年・2008年の過去問
問1 | 制限行為能力者 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 物権変動 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 代理 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 詐害行為取消権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問6 | 連帯債務と連帯保証 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 委任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 弁済 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 契約不適合責任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 不法行為 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 遺言 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 賃貸借 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 国土利用計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問18 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 都市計画法/開発許可 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | その他法令 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 所得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 印紙税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 固定資産税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問29 | 不動産鑑定評価基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 免許・取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 免許の基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問32 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問33 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | 媒介契約 | ア | イ | ウ | |
問36 | 重要事項説明 | ア | イ | ウ | エ |
問37 | 重要事項説明・35条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問38 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問39 | クーリングオフ | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問41 | 手付金等の保全措置 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問42 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問43 | 報酬 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問45 | 監督処分 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融支援機構 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | ||||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |