平成20年 問9-1 契約不適合責任(改正)
宅地建物取引業者であるAが、自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者でないBに売却した場合、当該売買契約で、Aが目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合について一切の責任を負わない旨を合意したとしても、Aは甲土地の引渡しの日から2年間は、契約不適合の責任を負わなければならない。(改)
宅地建物取引業者であるAが、自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者でないBに売却した場合、当該売買契約で、Aが目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合について一切の責任を負わない旨を合意したとしても、Aは甲土地の引渡しの日から2年間は、契約不適合の責任を負わなければならない。(改)
【解答】
×
- 宅建業法では、売主が宅建業者で買主が宅建業者でない場合、「民法の契約不適合責任」の規定よりも買主に不利な特約はしてはいけない。
- ただし、例外として、宅建業者が契約不適合責任を負う期間を、物件を「引渡した日から2年以上」とする特約は有効
- 上記特約より買主に不利な特約をした場合、民法の原則を適用する
- 民法では、契約不適合を知ったときから、1年以内に、売主に対して契約不適合の旨を「通知」する必要
- 不適合を知った時から5年経過で①追完請求権、②代金減額請求、③損害賠償請求及び契約解除の債権が消滅する
【解説】
結論からいうと、「一切の責任を負わない旨を合意したとしても、Aは甲土地の引渡しの日から2年間は、契約不適合の責任を負わなければならない。」が誤りです。
正しくは、不適合を知ったときから、1年以内に、売主に対して契約不適合の旨を「通知」すれば、不適合を知った時から5年経過契約不適合の責任を負わなければなりません。
では、細かく解説していきます。
宅建業者は自ら売主で、宅建業者でない者に対して、宅地・建物の売買契約を締結する場合、
原則、「民法の契約不適合責任」の規定よりも買主に不利な特約はしてはいけない。
ただし、例外として、宅建業者が契約不適合を負う期間を、物件を「引渡した日から2年以上」
とする特約は有効です。
民法では、引き渡したものに契約内容に不適合があった場合、売主は契約不適合責任(債務不履行責任)を負うとしています。
したがって、本問の「Aが目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合について一切の責任を負わない旨」は買主に不利な特約です。
したがって、無効です。
この場合、民法の原則に従います。
つまり、売主業者は、契約不適合責任を負うわけです。
■そして、責任を負う期間はどれだけか?
結論から言えば、「Aは甲土地の引渡しの日から2年間は、契約不適合の責任を負わなければならない」という記述が誤りです。
民法では、買主は、種類・品質について契約不適合を知ったときから、1年以内に、売主に対して契約不適合の旨を「通知」する必要があるとしています。
したがって、この民法のルールが適用されるので、買主は、
通知をすることで、 「①追完請求権」「②代金減額請求」「③損害賠償請求及び契約解除」の権利は通常の債権の消滅時効の期間内に行使すればよいです。
つまり、 買主は不適合を知ったことになるので、消滅時効の主観的起算点により、不適合を知った時から5年経過で①~③の債権が消滅します。
言い換えれば、5年以内に権利行使すれば良いことになります。権利行使は裁判外でもかまわないが、裁判外行使の場合には、時効完成猶予に関する規定による猶予の措置を講じなければ上記5年の経過により時効が完成します。
平成20年・2008年の過去問
問1 | 制限行為能力者 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 物権変動 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 代理 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 詐害行為取消権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問6 | 連帯債務と連帯保証 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 委任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 弁済 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 契約不適合責任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 不法行為 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 遺言 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 賃貸借 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 国土利用計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問18 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 都市計画法/開発許可 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | その他法令 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 所得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 印紙税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 固定資産税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問29 | 不動産鑑定評価基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 免許・取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 免許の基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問32 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問33 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | 媒介契約 | ア | イ | ウ | |
問36 | 重要事項説明 | ア | イ | ウ | エ |
問37 | 重要事項説明・35条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問38 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問39 | クーリングオフ | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問41 | 手付金等の保全措置 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問42 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問43 | 報酬 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問45 | 監督処分 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融支援機構 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | ||||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |