独学合格プログラム

平成23年 問39-4 担保責任の特約制限 8種制限

【問題】
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として行う宅地(代金3,000万円)の売買について、A社は、宅地建物取引業者である買主E社との間で、売買契約を締結したが、担保責任について、「買主が行う契約不適合の旨の通知期間は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過したときはできない」とする旨の特約を定めていた。

 

>解答と解説はこちら

【問題】
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として行う宅地(代金3,000万円)の売買について、A社は、宅地建物取引業者である買主E社との間で、売買契約を締結したが、担保責任について、「買主が行う契約不適合の旨の通知期間は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過したときはできない」とする旨の特約を定めていた。

 

【解答】
違反しない

宅建業者間の取引では、担保責任の特約の制限(8種制限)の適用を受けない

【解説】

宅建業者間の取引なので、「担保責任の特約制限」の適用を受けません。したがって、買主が行う契約不適合の旨の通知期間を「引渡しから1年」とする特約も有効です。つまり、本問は違反しません。

▼では、もし、本問のE社が宅建業者でなかったらどうなるだろう?

売主が宅建業者、買主が非宅建業者として担保責任に関する特約をする場合、買主が行う契約不適合の旨の通知期間については、 ①「買主がその不適合を知った時から1年」以上もしくは②「引渡しの日から2年」以上であれば有効です。これより買主にとって不利な特約は無効となります。

ここで、問題文の

「買主が行う契約不適合の旨の通知期間は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過したときはできない」

を見ると、「引渡し日」を起算としているので、「引渡しから2年」以上の期間がないと買主に不利と判断されます。

よって「引渡しから1年」しかないので、買主にとって不利な特約となり、宅建業法違反となります。

▼では、もし買主が宅建業者でなく、かつ「買主が行う契約不適合の旨の通知期間は、契約対象物件である宅地について契約不適合を見つけた日から1年以内にしなければ、買主は売主に対して、契約不適合を理由として責任追及をすることができない」と特約していたらどうですか?

民法では、主が行う契約不適合の旨の通知期間は、「買主が契約不適合を知ってから1年間」としています。

つまり、上記は民法そのままなので、有効です。

担保責任の特約制限(宅建業法)

宅建業法における「担保責任の特約制限」に関する問題です。これを理解する為には、民法の契約不適合責任をまず頭に入れる必要があります。

民法の契約不適合責任

売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、 買主は、その不適合を理由として、①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除をすることができくなります

つまり、売主が、契約内容に適合しない不動産を引渡した場合、買主は不適合を知ってから1年以内に「この部分が不適合ですよ!」と通知しないと、買主は、売主に対して責任追及できなくなる(①~④の権利を行使できなくなる)ということです。

宅建業法の担保責任の特約制限

宅建業法では、売主が宅建業者・買主が非宅建業者の場合、契約不適合に関する通知期間を「その目的物の引渡しの日から2年以上となる特約」は許される(有効)が、それ以外の特約については、民法の契約不適合責任の規定より買主に不利となる特約をしてはならない(無効となる)としています。

無効となった場合、民法の原則に立ち返り、 買主は、売主業者に対して、契約不適合に関する通知期間は「契約不適合を知ってから1年以内」に行えばよいことになります。

【具体例】

宅建業者が自ら売主として宅建業者でない者に対して建物を販売した場合、契約不適合責任の通知期間を

  • 引き渡しの日から1年と特約した場合⇒無効⇒民法の原則に戻って、買主の通知期間は「買主が契約不適合を知った時から1年」となる
  • 引き渡しの日から2年と特約した場合⇒有効
  • 引き渡しの日から3年と特約した場合⇒有効
  • 買主が契約不適合を知った日から6か月とする特約をした場合⇒無効⇒民法の原則に戻って、買主の通知期間は「買主が契約不適合を知った時から1年」となる
  • 買主が契約不適合を知った日から1年とする特約をした場合⇒有効(民法通りだから)
  • 買主が契約不適合を知った日から1年半とする特約をした場合⇒有効(民法より買主に有利だから)
  • 買主が契約不適合を知った日から2年とする特約をした場合⇒有効(民法より買主に有利だから)

また、特約で、「契約不適合がある場合、買主は損害賠償請求のみできる」とした場合、民法(①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除ができる)よりも不利になるので、無効となり、民法通り、「①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除」ができるとなる。
※ 民法上、買主に帰責事由がある場合、①②④はできない
※ 民法上、売主に帰責事由がない場合、③はできない


平成23年・2011年の過去問

問1 意思表示 1 2 3 4
問2 停止条件 1 2 3 4
問3 共有 1 2 3 4
問4 根抵当権 1 2 3 4
問5 債権譲渡 1 2 3 4
問6 相殺 1 2 3 4
問7 1 2 3 4
問8 1 2 3 4
問9 判決文(請負) 1~4
問10 相続 1 2 3 4
問11 1 2 3 4
問12 借家権 1 2 3 4
問13 区分所有法 1 2 3 4
問14 不動産登記法 1 2 3 4
問15 国土利用計画法 1 2 3 4
問16 1 2 3 4
問17 開発許可 1 2 3 4
問18 建築基準法 1 2 3 4
問19 建築基準法 1 2 3 4
問20 1 2 3 4
問21 土地区画整理法 1 2 3 4
問22 1 2 3 4
問23 印紙税 1 2 3 4
問24 固定資産税 1 2 3 4
問25 地価公示法 1 2 3 4
問26 免許の要否 1 2 3 4
問27 免許の基準 1 2 3 4
問28 取引士 1 2 3 4
問29 取引士 1 2 3 4
問30 1 2 3 4
問31 媒介契約 1 2 3 4
問32 重要事項説明 1 2 3 4
問33 重要事項説明 1 2 3 4
問34 35条書面・37条書面 1 2 3 4
問35 クーリングオフ
問36 広告 1 2 3 4
問37 損害賠償額の予定等 1 2 3 4
問38 8種制限 1 2 3 4
問39 8種制限 1 2 3 4
問40 報酬 1 2 3 4
問41 業務上の規制
問42 案内所
問43 保証協会 1 2 3 4
問44 監督処分 1 2 3 4
問45 1 2 3 4
問46 住宅金融支援機構 1 2 3 4
問47 1 2 3 4
問48 統計
問49 土地 1 2 3 4
問50 建物 1 2 3 4