平成15年 問35-2 割賦販売契約の所有権留保の禁止 8種制限
宅地建物取引業者Bは、自ら売主として宅地建物取引業者でないCと4,000万円の宅地の割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えた。残代金1,000万円が未払であったため、Cは代金債務を保証する保証人を立てたが、Bは、宅地の所有権の登記をB名義のままにしておいた場合、違反となる。
宅地建物取引業者Bは、自ら売主として宅地建物取引業者でないCと4,000万円の宅地の割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えた。残代金1,000万円が未払であったため、Cは代金債務を保証する保証人を立てたが、Bは、宅地の所有権の登記をB名義のままにしておいた場合、違反となる。
【解答】
○
売主宅建業者、買主非宅建業者の場合、割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡すまでに所有権を買主に移転しなければならない
【解説】
本問は8種制限の一つである「割賦販売契約の所有権留保の禁止」です。
そして、この問題を解くためには、考え方が非常に重要です。しっかり、原則と例外に沿って答えを導きましょう。
まず、原則です。
▼原則
「売主が宅建業者」「買主が非宅建業者」において、割賦販売契約を締結した場合は,当該割賦販売に係る「宅地又は建物」を買主に「引き渡すまでに」、登記その他引渡し以外の売主の義務(所有権移転登記)を履行しなければならない。
この点から考えると、売主Bは、宅地の引渡しを終えているので、所有権をAに移転させないと違反になるわけです。
しかし、例外があり、下記のいずれかに該当する場合は、所有権を買主Cに移転させなくてよいです。
▼例外
1.当該宅地又は建物を引き渡すまでに代金の30%を超える額の金銭の支払を受けていないとき
2.買主が所有権の登記をした後の代金債務について、これを担保するための抵当権や不動産売買の先取特権の登記を申請する見込みがないとき、又はこれを保証する保証人を立てる見込みがないとき
ここで例外に該当するかどうかを考えて、
例外に該当すれば、売主Bは、所有権を買主Cに移転しなくてもよい=違反ではない
例外に該当しなければ、原則通り、所有権を移転しないといけない」=違反となる
まず、例外1を確認します。
4000万円お売買契約で1000万円が未払ということは売主Bは3000万円の支払いを受けているわけです。
代金4000万円のうち3000万円というのは、代金の30%を超える金銭の支払いを受けているので、例外1には該当しません。
次に、例外2を考えます。
「買主Cは代金債務を保証する保証人を立てた」と記述されているので、例外2にも該当しません。
したがって、例外には一つも該当せず、原則どおりなので、売主Bは引渡しを終えたにもかかわらず、宅地の所有権の登記を売主B名義のままにしているので違反です。
割賦販売契約の所有権留保の禁止
状況としては、分割払い(割賦販売)を行い、売主が買主からいくらかお金をもらって、まず、「引き渡し」を行います。
つまり、分割払いで、初めに3割以下のお金をもらって、先に「引き渡し」だけをする状況です。
この時点で、所有権は買主に移転しません。売主が所有権を持っています。=所有権留保
そして、その後、さらに代金の一部をもらって、代金3割を超えるようであれば、その前に所有権を買主に移転しなさい!というルールです。
例えば、代金が1億円の建物で 契約と同時に1000万円を受領して、建物を買主に引き渡しました。 (所有権は売主が持っている)
その後、さらに売主は2000万円をもらいました。 この時点では代金の3割ぴったりなので買主に移転登記しなくても大丈夫です。=所有権を留保してもよい
次に、代金の一部をもらうときは、代金の3割を超えるので、それまでに所有権を買主に移転しなさい! というのが、「所有権留保の禁止」のルールです!
平成15年・2003年の過去問
問1 | 制限行為能力者 | 1 | 法改正により削除 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 停止条件 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 物権変動 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 共有 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問6 | 抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 保証 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 債権譲渡 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 民法その他 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 契約不適合責任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 相続 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 借地権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 法改正のため削除 | 4 |
問16 | 国土利用計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問18 | 都市計画法/開発許可 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 都市計画法/開発許可 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | その他法令 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 所得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 登録免許税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 固定資産税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問29 | 地価公示 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 免許の要否 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 免許の基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問32 | 免許 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問33 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | 宅建業法総合 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問36 | 35条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問37 | 37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問38 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問39 | クーリングオフ | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問41 | 解約手付 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問42 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問43 | 媒介契約 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 報酬 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問45 | 35条書面・媒介契約 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融公庫 | 法改正のため省略 | |||
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | ||||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |