平成23年 問39-3 割賦販売契約の所有権留保の禁止 8種制限
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として行う宅地(代金3,000万円)の売買について、A社は、宅地建物取引業者でない買主Dとの間で、割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えたが、Dは300万円しか支払わなかったため、宅地の所有権の登記をA社名義のままにしておいた。
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として行う宅地(代金3,000万円)の売買について、A社は、宅地建物取引業者でない買主Dとの間で、割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えたが、Dは300万円しか支払わなかったため、宅地の所有権の登記をA社名義のままにしておいた。
【解答】
違反しない
売主宅建業者、買主非宅建業者の場合、割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡すまでに所有権を買主に移転しなければならない
【解説】
本問は8種制限の一つである「割賦販売契約の所有権留保の禁止」です。
そして、この問題を解くためには、考え方が非常に重要です。しっかり、原則と例外に沿って答えを導きましょう。
まず、原則です。
▼原則
「売主が宅建業者」「買主が非宅建業者」において、割賦販売契約を締結した場合は,当該割賦販売に係る「宅地又は建物」を買主に「引き渡すまでに」、登記その他引渡し以外の売主の義務(所有権移転登記)を履行しなければならない。
この点から考えると、売主A社は、宅地の引渡しを終えているので、所有権をDに移転させないと違反になるわけです。
しかし、例外があり、下記のいずれかに該当する場合は、所有権を買主Dに移転させなくてよいです。
▼例外
1.当該宅地又は建物を引き渡すまでに代金の30%を超える額の金銭の支払を受けていないとき
2.買主が所有権の登記をした後の代金債務について、これを担保するための抵当権や不動産売買の先取特権の登記を申請する見込みがないとき、又はこれを保証する保証人を立てる見込みがないとき
ここで例外に該当するかどうかを考えて、
例外に該当すれば、売主A社は、所有権を買主Dに移転しなくてもよい=違反ではない
例外に該当しなければ、原則通り、所有権を移転しないといけない」=違反となる
まず、例外1を確認します。
3000万円の売買契約で買主Dは300万円(代金の10%)しか支払っていない状況です。
したがって、例外1に該当します。
つまり、売主A社は宅地の所有権の登記を売主A社名義のままにしていても違反ではありません。
割賦販売契約の所有権留保の禁止
状況としては、分割払い(割賦販売)を行い、売主が買主からいくらかお金をもらって、まず、「引き渡し」を行います。
つまり、分割払いで、初めに3割以下のお金をもらって、先に「引き渡し」だけをする状況です。
この時点で、所有権は買主に移転しません。売主が所有権を持っています。=所有権留保
そして、その後、さらに代金の一部をもらって、代金3割を超えるようであれば、その前に所有権を買主に移転しなさい!というルールです。
例えば、代金が1億円の建物で 契約と同時に1000万円を受領して、建物を買主に引き渡しました。 (所有権は売主が持っている)
その後、さらに売主は2000万円をもらいました。 この時点では代金の3割ぴったりなので買主に移転登記しなくても大丈夫です。=所有権を留保してもよい
次に、代金の一部をもらうときは、代金の3割を超えるので、それまでに所有権を買主に移転しなさい! というのが、「所有権留保の禁止」のルールです!
平成23年・2011年の過去問
問1 | 意思表示 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 停止条件 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 共有 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 根抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 債権譲渡 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問6 | 相殺 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 転貸借 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 契約関係 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 判決文(請負) | 1~4 | |||
問10 | 相続 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 借地権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 国土利用計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 開発許可 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問18 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 印紙税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 固定資産税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | 地価公示法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 免許の要否 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 免許の基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問29 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 媒介契約 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問32 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問33 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 35条書面・37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | クーリングオフ | ア | イ | ウ | |
問36 | 広告 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問37 | 損害賠償額の予定等 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問38 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問39 | 8種制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 報酬 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問41 | 業務上の規制 | ア | イ | ウ | エ |
問42 | 案内所 | ア | イ | ウ | |
問43 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 監督処分 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問45 | 住宅瑕疵担保履行法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融支援機構 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | ||||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |