平成25年 問38-ウ 8種制限 解約手付
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した売買契約に関して、A社は、Bとの間における土地付建物の売買契約の締結に当たり、手付金100万円及び中間金200万円を受領する旨の約定を設けた際、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、売主は買主に受領済みの手付金及び中間金の倍額を支払い、また、買主は売主に支払済みの手付金及び中間金を放棄して、契約を解除できる旨の特約を定めた。この特約は有効である。
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した売買契約に関して、A社は、Bとの間における土地付建物の売買契約の締結に当たり、手付金100万円及び中間金200万円を受領する旨の約定を設けた際、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、売主は買主に受領済みの手付金及び中間金の倍額を支払い、また、買主は売主に支払済みの手付金及び中間金を放棄して、契約を解除できる旨の特約を定めた。この特約は有効である。
【解答】
×
解約手付:相手方が履行に着手するまでは、買主は手付金を放棄して契約を解除することができる
【解説】
売主が宅建業者で買主が宅建業者でない場合、8種制限が適用されます。
そして、問題文が長いのですが、細かい部分を見るのではなく、問題文全体の構造をみるようにしましょう。
下記部分は「また」を境に2つに分かれることが分かりますか?
「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、売主は買主に受領済みの手付金及び中間金の倍額を支払い、また、買主は売主に支払済みの手付金及び中間金を放棄して、契約を解除できる旨の特約を定めた。」
これは、
①当事者の一方(買主)が契約の履行に着手するまでは、売主は買主に受領済みの手付金及び中間金の倍額を支払い、契約を解除できる旨の特約を定めた
②当事者の一方(売主)が契約の履行に着手するまでは、買主は売主に支払済みの手付金及び中間金を放棄して、契約を解除できる旨の特約を定めた
この2つから、解約手付に関する問題と見当が付きます。
▼解約手付とは?
原則、買主が売主に与える手付は、特に定めがなかったとしても解約手付となります。
つまり、相手方が履行に着手するまでは、①買主は手付金を放棄して、また、②売主は手付金の倍額を買主に償還して、契約の解除をすることができます。
そして、これよりも買主に不利な特約は無効となります。
本問の場合、売主からの解除する場合の記述について、「受領済みの手付金及び中間金の倍額を支払う」という点は、②よりも買主にとって有利な特約であるから、無効とはならず有効です。
一方、買主からの解除する場合の記述について、「支払済みの手付金及び中間金を放棄」という点は、①よりも買主にとって不利な特約になります。なぜなら、中間金も放棄しないといけないからです。
つまり、本特約は有効ではありません。
解約手付
手付とは、契約する際に支払うお金等を言います。手付が交付されている場合、相手が履行に着手するまでの間は
・買主は手付を放棄すれば契約解除でき、(手付放棄) ・売主は手付の倍額を買主に支払えば契約解除できます。(手付倍返し)買主の履行について、「中間金を払いますよ!」と言っただけ(口頭の提供)では履行の着手をしたことにはなりません。現実に中間金を持って払いに行かないと(現実の提供をしないと)履行の着手とは言えません。
同様に、売主であれば、「土地を引き渡します!」と言っただけでは履行に着手したことにはなりません。
※ポイントは、「相手方」が履行に着手するまでは 「手付放棄」や「手付倍返し」を理由に契約解除できるということで、 自分が履行に着手しているかどうかは関係ないということです。
★売主から解約する場合、単に「手付金の倍額を返すので契約解除します!」と書面で通知するだけでは解除できません。現実に手付金の倍額を償還(交付)することで解除することができます。
例 :買主が手付金として100万円を売主に支払った後に、
① 買主が解除する場合
売主が履行に着手する前であれば、手付金として支払った100万円をそのまま売主にあげることで解除できる
② 売主が解除する場合
買主が履行に着手する前であれば、手付金として受け取った100万円にプラス100万円を売主が上乗せして(合計200万円)買主に渡すことで解除できる。
平成25年・2013年の過去問
問1 | 民法の条文 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 制限行為能力者 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 囲繞地通行権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 留置権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問6 | 連帯保証 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 判決文【保証】 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 賃貸借 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 使用者責任/不法行為 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 相続 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 借地権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 建築基準法 | ア | イ | ウ | エ |
問18 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | その他法令 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 印紙税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 固定資産税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | 地価公示法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 免許の基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 媒介契約 | ア | イ | ウ | |
問29 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 重要事項説明 | ア | イ | ウ | エ |
問32 | 業務上の規制 | ア | イ | ウ | エ |
問33 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 8種制限・クーリングオフ | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | 37条書面 | ア | イ | ウ | エ |
オ | |||||
問36 | 37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問37 | 報酬 | ア | イ | ウ | |
問38 | 8種制限・解約手付 | 改正民法に伴い削除 | イ | ウ | |
問39 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 8種制限・手付金等の保全措置 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問41 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問42 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問43 | 免許 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 取引士 | ア | イ | ウ | エ |
問45 | 住宅瑕疵担保履行法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融支援機構 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | - | |||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |