平成25年 問11-2 借家権
Aは、A所有の甲建物につき、Bとの間で期間を10年とする借地借家法第38条第1項の定期建物賃貸借契約を締結し、Bは甲建物をさらにCに賃貸(転貸)した。Bの債務不履行を理由にAが賃貸借契約を解除したために当該賃貸借契約が終了した場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸していたときには、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。
Aは、A所有の甲建物につき、Bとの間で期間を10年とする借地借家法第38条第1項の定期建物賃貸借契約を締結し、Bは甲建物をさらにCに賃貸(転貸)した。Bの債務不履行を理由にAが賃貸借契約を解除したために当該賃貸借契約が終了した場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸していたときには、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。
【解答】
×
賃借人の債務不履行による解除 → 賃貸人が転借人に目的物の返還を請求したときに転貸借は終了
【解説】
本問は賃貸人Aが賃借人Bに建物を貸し、賃借人BがAの承諾を得て転借人Cに転貸(又貸し)をした場合の話です。
そして、「Aの債務不履行」というのは、例えば、Aが賃料を払わなかったことを指しています。
賃料不払いによりAB間の賃貸借契約が終了した場合、転借人Cはどうなるのか?というのが本問の問題です。
賃借人の債務不履行による解除の場合、賃貸人Aが転借人Cに対して「建物を返してください!」と請求したときに転貸借契約は終了します。
また、AB間の契約終了の前に、賃貸人Aは、Cに対して「Bが支払わない賃料」の支払機会を与える必要はなく、AB間の契約をする場合、Bにのみ催告するだけでよいと判例では言っています。
これは一見すると、転借人がかわいそうなのでは?と思われますが、以下のように整理するとイメージできるかもしれません。
そもそも、 「転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負います」つまり、賃貸人の立場からすると「賃借人B」にも「転借人A」 にも賃料の支払いを請求できるし、また、債務不履行責任の追求をできるわけです。したがって、Bが賃料を支払ないだけでBだけでなくCにも債務不履行を主張できるイメージです。
ここで注意が必要なのは、AB間の賃料が10万円、BC間の賃料が12万円の場合、AはBに対しては、契約通り10万円まで、Cに対しては賃料と転貸料の小さい方(10万円)までしか請求することができないということです。そして、AがCから10万円の支払いを受ければBの10万円分の賃料債権は消滅するため、Bは残り2万円しかCに対して請求できなくなります。
もしAB間の賃料が10万円、BC間の賃料が8万円の場合、AはBに対しては、契約通り10万円まで、Cに対しては賃料と転貸料の小さい方(8万円)までしか請求することができないということです。
賃貸借契約の終了と転貸借の終了の関係
賃貸借の終了原因 | 転貸借の終了時点 |
---|---|
①賃貸借の合意解除 |
賃貸人は、転借人に対抗できない。
=転貸借契約は当然には終了しない。
【注意】
合意解除の時に、賃貸人が解除権を持っていた場合(例えば、賃借人がすでに賃料を滞納していて、催告したにもかかわらず、支払わらず、賃貸人が解除できる状況だった場合)、「合意解除」のルールではなく、「③債務不履行による解除」のルールが適用されます。 |
②期間満了もしくは解約申入れにより終了 | 賃貸人から転借人へ通知した日から6ヵ月を経過したとき転貸借は終了。 =転借人には通知しなければならない。賃借人には通知不要。 |
③賃借人の債務不履行による解除 (賃借人の賃料不払いなど) | 賃貸人が転借人に目的物の返還を請求したときに転貸借は終了。 =転借人は賃貸人に対抗できない。 そして、賃貸人は賃借人に催告するだけでよく、転借人に支払の機会を与える必要はない。 |
平成25年・2013年の過去問
問1 | 民法の条文 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 制限行為能力者 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 囲繞地通行権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 留置権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問6 | 連帯保証 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 判決文【保証】 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 賃貸借 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 使用者責任/不法行為 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 相続 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 借地権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 建築基準法 | ア | イ | ウ | エ |
問18 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | その他法令 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 印紙税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 固定資産税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | 地価公示法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 免許の基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 媒介契約 | ア | イ | ウ | |
問29 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 重要事項説明 | ア | イ | ウ | エ |
問32 | 業務上の規制 | ア | イ | ウ | エ |
問33 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 8種制限・クーリングオフ | 1 | 2 | 3 | 4 |
問35 | 37条書面 | ア | イ | ウ | エ |
オ | |||||
問36 | 37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問37 | 報酬 | ア | イ | ウ | |
問38 | 8種制限・解約手付 | 改正民法に伴い削除 | イ | ウ | |
問39 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 8種制限・手付金等の保全措置 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問41 | 業務上の規制 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問42 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問43 | 免許 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 取引士 | ア | イ | ウ | エ |
問45 | 住宅瑕疵担保履行法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融支援機構 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | - | |||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |