独学合格プログラム

平成30年 問29-4 担保責任の特約制限

【問題】
Aは、Bとの間で、Aが所有する建物を代金2,000万円で売却する売買契約を締結した。
Aは宅地建物取引業者であるが、Bは宅地建物取引業者ではない場合において、本件契約の目的物である建物の契約不適合責任に関し、契約の解除又は損害賠償を請求するためには、目的物の引渡しの日から1年以内に通知しなければならないものとする旨の特約を定めた。

 

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【問題】
Aは、Bとの間で、Aが所有する建物を代金2,000万円で売却する売買契約を締結した。
Aは宅地建物取引業者であるが、Bは宅地建物取引業者ではない場合において、本件契約の目的物である建物の契約不適合責任に関し、契約の解除又は損害賠償を請求するためには、目的物の引渡しの日から1年以内に通知しなければならないものとする旨の特約を定めた。

 

【解答】
× 違反する

契約不適合責任の通知期間 → 引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法の規定より買主に不利となる特約をすることはできない
これより買主にとって不利な特約をした場合
、宅建業法違反となり、民法の原則より「買主が契約不適合の事実を知ってから1年」となる

【解説】

まず、宅建業者Aが売主、非宅建業者Bが買主なので、8種制限の適用があります。

そして、原則、宅建業者は、自ら売主(買主:宅建業者以外)となる売買契約において、「民法の契約不適合責任」の規定よりも買主に不利な特約はしてはいけない

簡単にいえば、買主が行う契約不適合の旨の通知期間を「買主が契約不適合を知った時から1年」より短くしてはならないということ。

ただし、例外として、通知期間を物件を「引渡した日から2年以上」とする特約は有効です。

つまり、これらをまとめると、「買主が行う契約不適合の旨の通知期間」は「買主が契約不適合を発見した時から1年以上」もしくは「引渡してから2年以上」であれば有効です。

本肢は「引渡しから1年間」というのは、 「引渡してから2年間」より短く買主にとって不利な特約です。

したがって、宅建業法違反です。

問題を解く上ではここまででよいですが、さらにその後の処理の仕方も頭に入れておきましょう

そして、特約が無効となると、民法の原則に立ち返り、買主が行う契約不適合の旨の通知期間は、買主が不適合の事実を知ってから1年となります。

(宅建業法)

宅建業法における「担保責任の特約制限」に関する問題です。これを理解する為には、民法の契約不適合責任をまず頭に入れる必要があります。

民法の契約不適合責任

売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、 買主は、その不適合を理由として、①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除をすることができくなります

つまり、売主が、契約内容に適合しない不動産を引渡した場合、買主は不適合を知ってから1年以内に「この部分が不適合ですよ!」と通知しないと、買主は、売主に対して責任追及できなくなる(①~④の権利を行使できなくなる)ということです。

宅建業法の担保責任の特約制限

宅建業法では、売主が宅建業者・買主が非宅建業者の場合、契約不適合に関する通知期間を「その目的物の引渡しの日から2年以上となる特約」は許される(有効)が、それ以外の特約については、民法の契約不適合責任の規定より買主に不利となる特約をしてはならない(無効となる)としています。

無効となった場合、民法の原則に立ち返り、 買主は、売主業者に対して、契約不適合に関する通知期間は「契約不適合を知ってから1年以内」に行えばよいことになります。

【具体例】

宅建業者が自ら売主として宅建業者でない者に対して建物を販売した場合、契約不適合責任の通知期間を

  • 引き渡しの日から1年と特約した場合⇒無効⇒民法の原則に戻って、買主の通知期間は「買主が契約不適合を知った時から1年」となる
  • 引き渡しの日から2年と特約した場合⇒有効
  • 引き渡しの日から3年と特約した場合⇒有効
  • 買主が契約不適合を知った日から6か月とする特約をした場合⇒無効⇒民法の原則に戻って、買主の通知期間は「買主が契約不適合を知った時から1年」となる
  • 買主が契約不適合を知った日から1年とする特約をした場合⇒有効(民法通りだから)
  • 買主が契約不適合を知った日から1年半とする特約をした場合⇒有効(民法より買主に有利だから)
  • 買主が契約不適合を知った日から2年とする特約をした場合⇒有効(民法より買主に有利だから)

また、特約で、「契約不適合がある場合、買主は損害賠償請求のみできる」とした場合、民法(①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除ができる)よりも不利になるので、無効となり、民法通り、「①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除」ができるとなる。
※ 民法上、買主に帰責事由がある場合、①②④はできない
※ 民法上、売主に帰責事由がない場合、③はできない


平成30年・2018年の過去問

問1 1 2 3 4
問2 代理 1 2 3 4
問3 1 2 3 4
問4 1 2 3 4
問5 事務管理 1 2 3 4
問6 法定地上権・抵当権 1 2 3 4
問7 債権譲渡 1 2 3 4
問8 賃貸借(判決文) 1 2 3 4
問9 相殺 1 2 3 4
問10 相続 1 2 3 4
問11 借地権 1 2 3 4
問12 1 2 3 4
問13 1 2 3 4
問14 不動産登記法 1 2 3 4
問15 国土利用計画法 1 2 3 4
問16 都市計画法 1 2 3 4
問17 都市計画法・開発許可 1 2 3 4
問18 建築基準法 1 2 3 4
問19 建築基準法 1 2 3 4
問20 宅地造成等規制法 1 2 3 4
問21 土地区画整理法 1 2 3 4
問22 農地法 1 2 3 4
問23 1 2 3 4
問24 1 2 3 4
問25 不動産鑑定評価基準 1 2 3 4
問26 広告 1 2 3 4
問27 建物状況調査 1 2 3 4
問28 宅建業法総合
問29 1 2 3 4
問30 1 2 3 4
問31 報酬計算 1 2 3 4
問32 1 2 3 4
問33 媒介契約 1 2 3 4
問34 37条書面
問35 35条書面 1 2 3 4
問36 免許 1 2 3 4
問37 クーリングオフ
問38 手付金等の保全措置 1 2 3 4
問39 重要事項説明 1 2 3 4
問40 業務上の規制
問41 免許 1 2 3 4
問42 取引士 1 2 3 4
問43 営業保証金 1 2 3 4
問44 保証協会 1 2 3 4
問45 住宅瑕疵担保履行法 1 2 3 4
問46 住宅金融支援機構 1 2 3 4
問47 不当表示法 1 2 3 4
問48 統計
問49 土地 1 2 3 4
問50 建物 1 2 3 4