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平成30年 問8-4 賃貸借 判決文

【問題】
(判決文) 賃借人は、賃貸借契約が終了した場合には、賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ、賃貸借契約は、賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり、賃借物件の損耗の発生は、賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。それゆえ、建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。そうすると、建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、(中略)その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である。
【問】
賃貸借契約に賃借人が原状回復義務を負う旨が定められていても、それをもって、賃借人が賃料とは別に通常損耗の補修費を支払う義務があるとはいえない。

 

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【問題】
(判決文) 賃借人は、賃貸借契約が終了した場合には、賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ、賃貸借契約は、賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり、賃借物件の損耗の発生は、賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。それゆえ、建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。そうすると、建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、(中略)その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である。
【問】
賃貸借契約に賃借人が原状回復義務を負う旨が定められていても、それをもって、賃借人が賃料とは別に通常損耗の補修費を支払う義務があるとはいえない。

 
【解答】

〇 正しい

通常損耗について賃借人が負担する範囲につき、契約書自体に具体的に明記されていて、「特約が明確に合意されている」場合、通常損耗については賃借人(入居者)が負担となる

【解説】

単に「原状回復義務を負う」とだけ書いてあるからといって、賃借人が賃料とは別に通常損耗の補修費を支払う義務があるとはいえません。

具体的に、どのようなことについて、補修費を払う必要があるのかを記載していないと、賃借人負担にはなりません。

判例中にも「賃借人に同義務が認められるためには、その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である。」と記載されています。

「明確に」が「具体的に」というイメージです。

通常損耗・経年劣化の原状回復義務

原状回復義務とは賃借人が賃貸借契約終了時に貸家、貸室を返還するに際し、それに付属させた物を収去し、借りた状態に戻して返還する義務をいいます。簡単言えば、元の状態に戻す義務のことです。

でも、クロスやフローリングなどの建物の設備は普通に使用していたら痛んできます。これを「通常損耗」と言います。

また、何も使用しなくても日光などの影響で時間が経過すれば痛んできます。これを「経年劣化」と言います。

通常損耗や経年劣化についての原状回復義務は原則、賃貸人にあります。

ただし、通常損耗については判例により

①「通常損耗について賃借人が負担する範囲につき、契約書自体に具体的に明記されている」 ②「賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識して、合意の内容としたものと認められる」 など「特約が明確に合意されている」場合、賃借人(入居者)に負担を負わせることは可能です。 tujosonmo


平成30年・2018年の過去問

問1 意思表示 1 2 3 4
問2 1 2 3 4
問3 停止条件 1 2 3 4
問4 時効 1 2 3 4
問5 事務管理 1 2 3 4
問6 法定地上権・抵当権 1 2 3 4
問7 債権譲渡 1 2 3 4
問8 賃貸借(判決文) 1 2 3 4
問9 相殺 1 2 3 4
問10 相続 1 2 3 4
問11 借地権 1 2 3 4
問12 借家権 1 2 3 4
問13 区分所有法 1 2 3 4
問14 不動産登記法 1 2 3 4
問15 国土利用計画法 1 2 3 4
問16 都市計画法 1 2 3 4
問17 都市計画法・開発許可 1 2 3 4
問18 建築基準法 1 2 3 4
問19 建築基準法 1 2 3 4
問20 宅地造成等規制法 1 2 3 4
問21 土地区画整理法 1 2 3 4
問22 農地法 1 2 3 4
問23 登録免許税 1 2 3 4
問24 不動産取得税 1 2 3 4
問25 不動産鑑定評価基準 1 2 3 4
問26 広告 1 2 3 4
問27 建物状況調査 1 2 3 4
問28 宅建業法総合
問29 1 2 3 4
問30 1 2 3 4
問31 報酬計算 1 2 3 4
問32 監督処分 1 2 3 4
問33 1 2 3 4
問34 37条書面
問35 35条書面 1 2 3 4
問36 1 2 3 4
問37
問38 手付金等の保全措置 1 2 3 4
問39 重要事項説明 1 2 3 4
問40 業務上の規制
問41 免許 1 2 3 4
問42 取引士 1 2 3 4
問43 1 2 3 4
問44 保証協会 1 2 3 4
問45 住宅瑕疵担保履行法 1 2 3 4
問46 1 2 3 4
問47 不当表示法 1 2 3 4
問48 統計
問49 土地 1 2 3 4
問50 建物 1 2 3 4