平成24年 問39-1 担保責任の特約制限 37条書面
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として建物の売買契約を締結する際の特約に関して、当該建物が新築戸建住宅である場合、宅地建物取引業者でない買主Bの売買を代理する宅地建物取引業者C社との間で当該契約締結を行うに際して、A社が当該住宅の担保責任を負う期間についての特約を定めないことは宅建業法違反となる。
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として建物の売買契約を締結する際の特約に関して、当該建物が新築戸建住宅である場合、宅地建物取引業者でない買主Bの売買を代理する宅地建物取引業者C社との間で当該契約締結を行うに際して、A社が当該住宅の担保責任を負う期間についての特約を定めないことは宅建業法違反となる。
【解答】
違反しない
担保責任に関する特約は定めなくてもよい
【解説】
「担保責任の特約制限」については、民法の規定だと売主業者にとっては相当不利なので、それを緩和するために「担保責任の特約制限」があります。なので、「担保責任に関する特約」を定めない場合、民法の規定に従うだけです。
どういうことかを解説します。
民法では、下記のようなルールになっています。
- 売買の目的物に関して契約不適合があった場合、買主は、売主に対して、「①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除」の権利を行使することができる
- 上記権利を行使するためには、買主が「契約不適合を知った時から1年以内」に不適合の旨を売主に通知しなければならない。1年以内に通知しないと上記①~④の権利がなくなる、としています。
これに従うと、もし、買主が引渡しを受けてから6年後瑕疵を発見したら、そこから1年以内に売主業者に通知することで、買主は売主に責任追及することができます。つまり、合計7年以上責任を負うことになります。
建物を販売する宅建業者にとっては、たくさんの建物を販売していくのでこれだと、責任を負うべき建物がドンドン増えていきます。
これは宅建業者にとって酷なので、宅建業法で一定の特約を許されています。
それが『買主が行う契約不適合の旨の通知期間について「引渡しをしてから2年」以上で定める特約であれば有効とする』ルールです。
つまり、「買主が行う契約不適合の旨の通知期間について引渡しをしてから2年とする」特約や「引渡しをしてから3年とする」特約は有効です。一方、上記ルールより買主に不利な特約「買主が行う契約不適合の旨の通知期間について引渡しをしてから1年とする」と特約は無効となります。無効の場合は民法の規定に従い、 「買主が行う契約不適合の旨の通知期間は、買主が契約不適合を知ってから1年間」となります。
言い換えると、買主にとって不利な特約をすると民法というさらに厳しいルールが適用されるわけです。
細かいことまで解説しましたが、契約不適合責任の通知期間についての特約を定めても定めなくても構いません。
▼ちなみに、売買・交換において、契約不適合責任については定めた場合のみ記載すればよい事項(任意的記載事項)です。
例えば、「契約不適合責任の通知期間について引渡しをしてから2年とする」と定めた場合は「契約不適合責任の通知期間について引渡しをしてから2年とする」と37条書面に記載するわけです。
もし、定めない場合、記載不要です。
契約不適合責任関連
平成24年・2012年の過去問
問1 | 虚偽表示 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 代理 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 民法の条文 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 代理 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 判決文 | 改正民法により削除 | |||
問6 | 物権変動 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 債務不履行 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 使用者責任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 相続 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 借地権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 国土利用計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 開発許可 | ア | イ | ウ | |
問18 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 所得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 不動産取得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | 不動産鑑定評価基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 免許の基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 免許の要否 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 業務上の規制 | ア | イ | ウ | エ |
問29 | 媒介契約 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問32 | 35条書面/37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問33 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 手付金等の保全措置 | ア | イ | ウ | |
問35 | 報酬 | ア | イ | ウ | エ |
問36 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問37 | クーリングオフ | 1 | 2 | 3 | 4 |
問38 | 損害賠償額の予定等 | ア | イ | ウ | |
問39 | 瑕疵担保責任の特約制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 業務上の規制 | ア | イ | ウ | エ |
問41 | 業務上の規制 | ア | イ | ウ | エ |
問42 | 案内所 | ア | イ | ウ | エ |
問43 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 監督処分 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問45 | 住宅瑕疵担保履行法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融支援機構 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | ||||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |