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平成27年 問34-2 8種制限 担保責任の特約制限

【問題】
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結する場合において、Aは、Bとの間における建物の売買契約において、「建物の品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関するBの通知期間について、建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約を付した。この場合、当該特約は無効となり、Bの通知期間は、当該建物の引渡しの日から2年間となる。

 

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【問題】
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結する場合において、Aは、Bとの間における建物の売買契約において、「建物の品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関するBの通知期間について、建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約を付した。この場合、当該特約は無効となり、Bの通知期間は、当該建物の引渡しの日から2年間となる。

 

【解答】
× 契約不適合責任を追及するための通知期間は「契約不適合を知った時から1年以上」、もしくは「引渡してから2年以上」で定めなければならない → これより買主にとって不利な特約をした場合、民法の原則より「買主が契約不適合を知ってから1年」となる

【解説】

まず、宅建業者Aが売主、非宅建業者Bが買主なので、8種制限の適用があります。

そして、原則、宅建業者は、自ら売主(買主:宅建業者以外)となる売買契約において、
「民法の瑕疵担保責任」の規定よりも買主に不利な特約はしてはいけない。

簡単にいえば、買主が売主業者に対して契約不適合責任を追及するための通知期間を「買主が契約不適合を知った時から1年」より短くしてはならないということ。

ただし、例外として、通知期間を「引渡した日から2年以上」とする特約は有効です。

つまり、これらをまとめると、「契約不適合責任を追及するための通知期間」は「買主が契約不適合を発見した時から1年以上」と「引渡してから2年以上」であれば有効です。

本問は「引渡しから1年間」というのは、 「引渡してから2年間」より短く買主にとって不利な特約です。

したがって、本特約は無効です。

ここまでは本問も正しいです。

そして、特約が無効となると、民法の原則に立ち返り、「契約不適合責任を追及するための通知期間」は、買主が契約不適合の事実を知ってから1年間となります。

本問は「当該建物の引渡しの日から2年間」となっているので誤りです。

担保責任の特約制限(宅建業法)

宅建業法における「担保責任の特約制限」に関する問題です。これを理解する為には、民法の契約不適合責任をまず頭に入れる必要があります。

民法の契約不適合責任

売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、 買主は、その不適合を理由として、①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除をすることができくなります

つまり、売主が、契約内容に適合しない不動産を引渡した場合、買主は不適合を知ってから1年以内に「この部分が不適合ですよ!」と通知しないと、買主は、売主に対して責任追及できなくなる(①~④の権利を行使できなくなる)ということです。

宅建業法の担保責任の特約制限

宅建業法では、売主が宅建業者・買主が非宅建業者の場合、契約不適合に関する通知期間を「その目的物の引渡しの日から2年以上となる特約」は許される(有効)が、それ以外の特約については、民法の契約不適合責任の規定より買主に不利となる特約をしてはならない(無効となる)としています。

無効となった場合、民法の原則に立ち返り、 買主は、売主業者に対して、契約不適合に関する通知期間は「契約不適合を知ってから1年以内」に行えばよいことになります。

【具体例】

宅建業者が自ら売主として宅建業者でない者に対して建物を販売した場合、契約不適合責任の通知期間を

  • 引き渡しの日から1年と特約した場合⇒無効⇒民法の原則に戻って、買主の通知期間は「買主が契約不適合を知った時から1年」となる
  • 引き渡しの日から2年と特約した場合⇒有効
  • 引き渡しの日から3年と特約した場合⇒有効
  • 買主が契約不適合を知った日から6か月とする特約をした場合⇒無効⇒民法の原則に戻って、買主の通知期間は「買主が契約不適合を知った時から1年」となる
  • 買主が契約不適合を知った日から1年とする特約をした場合⇒有効(民法通りだから)
  • 買主が契約不適合を知った日から1年半とする特約をした場合⇒有効(民法より買主に有利だから)
  • 買主が契約不適合を知った日から2年とする特約をした場合⇒有効(民法より買主に有利だから)

また、特約で、「契約不適合がある場合、買主は損害賠償請求のみできる」とした場合、民法(①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除ができる)よりも不利になるので、無効となり、民法通り、「①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除」ができるとなる。
※ 民法上、買主に帰責事由がある場合、①②④はできない
※ 民法上、売主に帰責事由がない場合、③はできない


平成27年・2015年の過去問

問1 民法の条文 1 2 3 4
問2 虚偽表示 1 2 3 4
問3 賃貸借・ 1 2 3 4
問4 時効 1 2 3 4
問5 占有 1 2 3 4
問6 抵当権 1 2 3 4
問7 抵当権 1 2 3 4
問8 同時履行の抗弁権
問9 判決文 1 2 3 4
問10 1 2 3 4
問11 借家権 1 2 3 4
問12 借家権 1 2 3 4
問13 区分所有法 1 2 3 4
問14 1 2 3 4
問15 都市計画法 1 2 3 4
問16 都市計画法 1 2 3 4
問17 建築基準法 1 2 3 4
問18 建築基準法 1 2 3 4
問19 宅地造成等規制法 1 2 3 4
問20 1 2 3 4
問21 国土利用計画法 1 2 3 4
問22 1 2 3 4
問23 贈与税・相続時精算課税制度 1 2 3 4
問24 固定資産税 1 2 3 4
問25 地価公示法 1 2 3 4
問26 免許の要否
問27 免許の基準 1 2 3 4
問28 媒介契約
問29 重要事項説明 1 2 3 4
問30 媒介契約
問31 重要事項説明
問32 重要事項説明 1 2 3 4
問33 報酬計算
問34 8種制限 1 2 3 4
問35 取引士 1 2 3 4
問36 8種制限
問37 1 2 3 4
問38 37条書面
問39 8種制限 1 改正民法に伴い削除 3 4
問40 8種制限
問41 業務上の規制
問42 営業保証金・保証協会 1 2 3 4
問43 監督処分 1 2 3 4
問44 案内所 1 2 3 4
問45 住宅瑕疵担保履行法 1 2 3 4
問46 住宅金融支援機構 1 2 3 4
問47 不当景品類及び不当表示防止法 1 2 3 4
問48 統計
問49 土地 1 2 3 4
問50 1 2 3 4