平成24年 問7-1 抵当権
Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Bの一般債権者が差押えをした場合には、Aは当該賃料債権に物上代位することができない。なお、物上代位を行う担保権者は、物上代位の対象とする目的物について、その払渡し又は引渡しの前に差し押さえるものとする。
Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Bの一般債権者が差押えをした場合には、Aは当該賃料債権に物上代位することができない。なお、物上代位を行う担保権者は、物上代位の対象とする目的物について、その払渡し又は引渡しの前に差し押さえるものとする。
【解答】
×
一般債権者の差し押さえと抵当権者の物上代位権に基づく差し押さえが競合した場合、両者の優劣は、「一般債権者の申し立てによる差し押さえ命令の第三債務者(賃借人)への送達」と「抵当権設定登記」の先後によって決まる
【解説】
まず、物上代位とは何かを解説します。
本問をより具体的にするために、AがBに対して1000万円を貸し、返済されないと困るので、B所有の建物に抵当権を設定してもらったとします。(Aは貸金債権を有する)
今回、この建物は賃貸しているので、この建物から「賃料債権」が生まれています。
この「賃料」を法律用語で「果実」といいます。
イメージとしては、「木から成る実」と同じように「抵当不動産(建物)から生まれるお金」です。
法律では
『抵当権はその担保する貸金債権につき債務不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の「果実」に及ぶ』
としています。
つまり、もし、Bが1000万円を返すことができず、債務不履行となった場合、抵当権者はこの賃料からお金を回収することができます。
これを「物上代位」といいます。
手続きの流れとしてはとしては、抵当権に基づいて差押えをして、賃料から弁済を受ける流れになります。
そして、本問は抵当権者A以外に、Bに対して債権を有している一般債権者もいます。
【具体例】 Bにお金を貸している債権者と考えると分かりやすいでしょう。
そして、本問では、この一般債権者が賃料債権を差押えをしている状況です。
つまり、問題文をまとめると
①BがAのためにB所有の建物に抵当権を設定する
②Bの一般債権者が賃料債権を差押える
という状況です。
そして、質問内容は
この状況で、「抵当権者Aは賃料債権に物上代位することができない」〇か×か?
という問題です。
言い換えると「抵当権者Aは抵当権に基づいて賃料債権を差押えることができない」〇か×か?
と言う事です。
ここでルール(判断基準)をお伝えします。
「一般債権者の差し押さえ」と「抵当権者の物上代位権に基づく差し押さえ」が競合した場合、両者の優劣は、「一般債権者の申し立てによる差し押さえ命令の第三債務者(賃借人)への送達」と「抵当権設定登記」の先後によって決まります。
つまり、一般債権者の差押えた後でも、抵当権の設定登記が差押え前であれば、抵当権者の物上代位が勝つわけです。
本問は、抵当権設定→一般債権者が建物賃料債権の差し押さえ
という時系列なので、Aが優先し、Aは当該賃料債権に物上代位することができます。
したがって、 「抵当権者Aは賃料債権に物上代位することができない」という記述は誤りです。
【なお、物上代位を行う担保権者は、物上代位の対象とする目的物について、その払渡し又は引渡しの前に差し押さえるものとする、の意味】
建物賃借人が、賃料を賃貸人Bに支払いをしてしまうと(=払渡しをすると)その時点で、賃料債権は消滅します。
そうすると、物上代位する対象となる目的物(=賃料債権)がなくなってしますので
上記「払渡し前に差し押さえをする」という文言が入っています。
平成24年・2012年の過去問
問1 | 虚偽表示 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
問2 | 代理 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問3 | 民法の条文 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問4 | 代理 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問5 | 判決文 | 改正民法により削除 | |||
問6 | 物権変動 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問7 | 抵当権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問8 | 債務不履行 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問9 | 使用者責任 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問10 | 相続 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問11 | 借地権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問12 | 借家権 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問13 | 区分所有法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問14 | 不動産登記法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問15 | 国土利用計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問16 | 都市計画法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問17 | 開発許可 | ア | イ | ウ | |
問18 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問19 | 建築基準法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問20 | 宅地造成等規制法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問21 | 土地区画整理法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問22 | 農地法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問23 | 所得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問24 | 不動産取得税 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問25 | 不動産鑑定評価基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問26 | 免許の基準 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問27 | 免許の要否 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問28 | 業務上の規制 | ア | イ | ウ | エ |
問29 | 媒介契約 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問30 | 重要事項説明 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問31 | 37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問32 | 35条書面/37条書面 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問33 | 営業保証金 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問34 | 手付金等の保全措置 | ア | イ | ウ | |
問35 | 報酬 | ア | イ | ウ | エ |
問36 | 取引士 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問37 | クーリングオフ | 1 | 2 | 3 | 4 |
問38 | 損害賠償額の予定等 | ア | イ | ウ | |
問39 | 瑕疵担保責任の特約制限 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問40 | 業務上の規制 | ア | イ | ウ | エ |
問41 | 業務上の規制 | ア | イ | ウ | エ |
問42 | 案内所 | ア | イ | ウ | エ |
問43 | 保証協会 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問44 | 監督処分 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問45 | 住宅瑕疵担保履行法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問46 | 住宅金融支援機構 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問47 | 不当景品類及び不当表示防止法 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問48 | 統計 | ||||
問49 | 土地 | 1 | 2 | 3 | 4 |
問50 | 建物 | 1 | 2 | 3 | 4 |