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平成17年 問42-4 8種制限 担保責任の特約制限

【問題】
宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でないBに宅地 (造成工事完了済み) を分譲する場合、AとBは、「宅地に契約内容に適合しない瑕疵があった場合でも、その瑕疵がAの責めに帰すものでないときは、Aは担保責任を負わない」旨の特約を定めた違反となる。

 

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【問題】
宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でないBに宅地 (造成工事完了済み) を分譲する場合、AとBは、「宅地に契約内容に適合しない瑕疵があった場合でも、その瑕疵がAの責めに帰すものでないときは、Aは担保責任を負わない」旨の特約を定めた違反となる。

 

【解答】

宅建業法では、買主が行う契約不適合責任を追及するための通知期間を「引渡しから2年」以上で定める特約を除いて、民法より不利な特約は無効

【解説】

民法では、

  1. 売買の目的物に関して契約不適合があった場合、買主は、売主に対して、「①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除」の権利を行使することができる
  2. 上記権利を行使するためには、買主が「契約不適合を知った時から1年以内」に不適合の旨を売主に通知しなければならない。1年以内に通知しないと上記①~④の権利がなくなる

と定めています。

そして、特約をする場合、「買主が行う契約不適合の旨の通知期間について、引渡しから2年」以上とする特約を除いて、上記民法よりも買主に不利な特約を設定することはできません。

つまり、本問の「宅地に契約内容に適合しない瑕疵があった場合でも、その瑕疵がAの責めに帰すものでないときは、Aは担保責任を負わない」というのは、「Aの責任でない不適合(瑕疵)については、Aは責任を負わない」という特約なので、

民法よりも、買主に不利な特約となっています。

したがって、本特約は無効です。つまり、違反です。

担保責任の特約制限(宅建業法)

宅建業法における「担保責任の特約制限」に関する問題です。これを理解する為には、民法の契約不適合責任をまず頭に入れる必要があります。

民法の契約不適合責任

売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、 買主は、その不適合を理由として、①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除をすることができくなります

つまり、売主が、契約内容に適合しない不動産を引渡した場合、買主は不適合を知ってから1年以内に「この部分が不適合ですよ!」と通知しないと、買主は、売主に対して責任追及できなくなる(①~④の権利を行使できなくなる)ということです。

宅建業法の担保責任の特約制限

宅建業法では、売主が宅建業者・買主が非宅建業者の場合、契約不適合に関する通知期間を「その目的物の引渡しの日から2年以上となる特約」は許される(有効)が、それ以外の特約については、民法の契約不適合責任の規定より買主に不利となる特約をしてはならない(無効となる)としています。

無効となった場合、民法の原則に立ち返り、 買主は、売主業者に対して、契約不適合に関する通知期間は「契約不適合を知ってから1年以内」に行えばよいことになります。

【具体例】

宅建業者が自ら売主として宅建業者でない者に対して建物を販売した場合、契約不適合責任の通知期間を

  • 引き渡しの日から1年と特約した場合⇒無効⇒民法の原則に戻って、買主の通知期間は「買主が契約不適合を知った時から1年」となる
  • 引き渡しの日から2年と特約した場合⇒有効
  • 引き渡しの日から3年と特約した場合⇒有効
  • 買主が契約不適合を知った日から6か月とする特約をした場合⇒無効⇒民法の原則に戻って、買主の通知期間は「買主が契約不適合を知った時から1年」となる
  • 買主が契約不適合を知った日から1年とする特約をした場合⇒有効(民法通りだから)
  • 買主が契約不適合を知った日から1年半とする特約をした場合⇒有効(民法より買主に有利だから)
  • 買主が契約不適合を知った日から2年とする特約をした場合⇒有効(民法より買主に有利だから)

また、特約で、「契約不適合がある場合、買主は損害賠償請求のみできる」とした場合、民法(①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除ができる)よりも不利になるので、無効となり、民法通り、「①履行追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求及び④契約解除」ができるとなる。
※ 民法上、買主に帰責事由がある場合、①②④はできない
※ 民法上、売主に帰責事由がない場合、③はできない


平成17年・2005年の過去問

問1 民法その他 1 2 3 4
問2 意思表示 1 2 3 4
問3 代理
問4 時効 1 2 3 4
問5 抵当権 1 2 3 4
問6 抵当権 1 法改正により削除 法改正により削除 4
問7 弁済 1 2 3 4
問8 物権変動 1 2 3 4
問9 契約不適合責任 1 2 3 4
問10 借家権/使用貸借 1 2 3 4
問11 1 2 3 4
問12 相続/遺言 1 2 3 4
問13 借地権 1 2 3 4
問14 区分所有法 1 2 3 4
問15 賃貸借 1 2 3 4
問16 不動産登記法 1 2 3 4
問17 国土利用計画法 1 2 3 4
問18 都市計画法/開発許可 1 2 3 4
問19 都市計画法 1 2 3 4
問20 都市計画法/開発許可 1 2 3 4
問21 1 2 3 4
問22 建築基準法 1 2 3 4
問23 土地区画整理法 1 2 3 4
問24 宅地造成等規制法 1 2 3 4
問25 農地法 1 2 3 4
問26 所得税 1 2 3 4
問27 印紙税 1 2 3 4
問28 固定資産税 1 2 3 4
問29 不動産鑑定評価基準 1 2 3 4
問30 1 2 3 4
問31 免許の基準 1 2 3 4
問32 取引士 1 2 3 4
問33 1 2 3 4
問34 業務上の規制 1 2 3 4
問35 1 2 3 4
問36 媒介契約
問37 35条書面 1 2 3 4
問38 35条書面 1 2 3 4
問39 重要事項説明/37条書面 1 2 3 4
問40 37条書面 1 2 3 4
問41 8種制限 1 2 3 4
問42 8種制限 1 2 3 4
問43 8種制限 1 2 3 4
問44 1 2 3 4
問45 保証協会 1 2 3 4
問46 住宅金融公庫 法改正のため省略
問47 不当景品類及び不当表示防止法 1 2 3 4
問48 統計
問49 建物 1 2 3 4
問50 土地 1 2 3 4